2006年9月28日(木)「しんぶん赤旗」
米政府が秘密報告公表
“イラク戦争でテロ増”確認
【ワシントン=鎌塚由美】ブッシュ米政権は二十六日、世界のテロ傾向を情報機関が分析した報告書「国家情報評価」(NIE)の結論部分の機密指定を解き、公表しました。報告書は、イラク戦争が世界でテロを増大させる一因になっていることを認めています。
二十四日の米各紙は、政府の十六の情報機関による同報告の存在を暴露。9・11同時テロ以降の対テロ戦争で「世界はより安全になった」と力説してきたブッシュ政権の主張を否定するものとなっていました。
ブッシュ大統領は批判の拡大を懸念して、三十ページにわたる報告書のうち一部を公表。明らかになった部分からも、イラク戦争が世界のイスラム過激派の動きを増長させる「誘因」になっていると述べていることが改めて確認されました。
報告書は、米国主導の対テロ戦争で、国際テロ組織アルカイダの指導部が深刻な打撃を受けたとしながらも、「アルカイダは単一のテロ組織としては米国の本土、海外での権益に対する最大の脅威であり続ける」と分析しています。
また報告書は、イスラムでジハード(聖戦)遂行を掲げる過激派、いわゆる「ジハーディスト」の動きは拡大しており、「この傾向が続けば、国内外の米国の権益に対する脅威はより多様化し、攻撃増加につながる」と警告しました。
さらに、イラクでの「聖戦」によってテロ組織の指導者、活動家の新世代が生まれ、イスラム世界への米国の関与に対する怒りが広がっていると指摘しています。