2006年9月28日(木)「しんぶん赤旗」

安倍政権 各国の反応


ド イ ツ

愛国主義教育への懸念

 【ベルリン=中村美弥子】二十六日に発足した安倍政権について独メディアは、平和憲法が改定され、愛国主義教育が強化されることになりそうだと報じています。

 ウェルト紙二十七日付は安倍氏について、「日本の軍国主義の過去に無批判である。日本の戦争犯罪に対する謝罪を認めないだけでなく、東京裁判の正当性さえ疑問視している」と紹介。戦犯をまつる靖国神社に何度も参拝し、北朝鮮に対する強固な態度で政治のスターになった安倍氏のもとで、愛国主義教育が強化される恐れがあると懸念を表明しています。

 公共ARDテレビは二十六日のニュースで、「安倍氏は平和憲法を変えようとしている。今後、自信に満ちた役者として日本を安全保障の舞台に登場させることを狙っている」と報じました。

韓  国

“強い日本”に対する執着

 二十六日発足した安倍新政権の陣容について韓国メディアは、「強硬保守人士 全面布陣」(京郷新聞二十六日付)などと警戒感を強めています。

 朝鮮日報(電子版二十七日付)は論説委員名のコラムで「昨日発足した安倍内閣は保守的な色彩が強い顔触れとなった」と指摘。「慰安婦」問題などで暴言を繰り返してきた麻生外相の留任や、歴史教科書を「自虐史観」と攻撃してきた中川昭一氏の政調会長起用に言及し、「今後も韓日関係は順風満帆というわけにはいかなそうだ」と述べました。

 小泉前政権によって行き詰まった日韓関係の改善につながるとの期待もある一方で、韓国日報社説(二十七日付)は「今まで彼(安倍氏)が見せた姿は期待より憂慮を起こさせる」と述べました。

 同紙は、「最も大きな憂慮は彼自身の歴史認識と“強い日本”に対する執着だ」と指摘。安倍氏の憲法改定や一九九五年の村山談話に対する発言に触れ、「このような歴史観をそのまま押し通せば、韓中両国との溝が深まるばかりか、米国との対立にぶつかる」と警告しました。

中  国

「カギは実際の行動だ」

 【北京=菊池敏也】中国の新華社通信は二十六日、安倍新内閣の発足について「新首相は内政、外交の試練に直面」と題する論評を伝え、安倍氏が首相就任後に直面する三大試練として(1)アジアの隣国との関係改善(2)国内の社会格差の縮小(3)財政再建―を挙げました。

 論評は、安倍氏が中韓両国訪問に意欲を示していることを紹介し、「最大のカギとなるのは実際の行動だ」として、靖国参拝問題での安倍氏の出方を見守る姿勢を示しました。

 また、「安倍氏は歴史認識と靖国神社参拝問題で『あいまい』戦略をとり、村山談話の継承、侵略戦争の歴史的評価と戦争責任の認定で言葉を濁している」と指摘しました。

レバノン

日本の“新保守主義者”

 【ベイルート=松本眞志】アラブ首長国連邦のアルハリージ紙二十日付は、レバノン大学教授のマスード・ダヘル氏による安倍晋三氏に関する論評を掲載しました。「日本の権力の座にある『新保守主義者』」と題する論評で同氏は、安倍氏の政治姿勢とその特徴について、次のように紹介しています。

 (1)アジアにおける日本のイメージと利益を損ねるとの反対があるにもかかわらず米国とあらゆる分野での関係を促進する点で小泉前首相の後継者だ(2)中国や韓国などアジア諸国が反対している小泉前首相の靖国神社参拝を手本にしている(3)現在を、日本がアジアで政治、経済、軍事、文化のあらゆる分野で主導権を復活させる歴史的好機とみている(4)戦力の保持と海外での軍事行動への参加を禁じた日本国憲法第九条を変える試みを進めている。


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