2006年9月27日(水)「しんぶん赤旗」

イスラエルが土地強奪

レバノン政府、国連に告発


 【ベイルート=松本眞志】レバノン政府と軍は、レバノン南部にとどまっているイスラエル軍の残存部隊が、勝手にレバノンとの国境線を修正してレバノンの土地を奪い、レバノン領内の川から水をイスラエル側に引き込もうとしているとイスラエルを非難しました。

 二十五日付のレバノンの英字紙デーリー・スターによると、レバノン政府は、国連に対し、イスラエル軍がレバノン領内の数百平方メートルの土地をイスラエル領側に加えているとイスラエルを告発しました。またレバノン軍は、国連レバノン暫定軍(UNIFIL)に対し、イスラエル軍がレバノン領内のワザニ川にパイプラインを通し、イスラエル北部のユダヤ人入植地に水を供給しようとしていると通告しました。

 同紙はまた、二十日付で、イスラエル軍が、レバノン南部のスール地域で農民の畑をブルドーザーでつぶし、「国境線を(イスラエル側に)広げるためにわれわれの土地と生活を犠牲にしている」と告発する農民の声を紹介しています。農民たちは、イスラエル軍が自分たちの土地に有刺鉄線をめぐらせて、「緩衝地帯」にするのではないかと恐れているといいます。

 現地では、イスラエル軍が、レバノン領内の村からブルドーザーでならした土をイスラエル領内に運び込んでいる様子も目撃されています。

 八月十四日の停戦合意に従って、イスラエル軍はレバノン南部から徐々に撤退していますが、五千人がいまでもレバノン南部の国境地帯に残留しています。

 中東では水は貴重な資源です。特にイスラエルではレバノン人の二―三倍、ヨルダン川西岸のパレスチナ人の十倍の水を使用している(一九九〇年時、エルサレム・ポスト紙報道)という数字もあり、慢性的な水不足に悩まされています。

 イスラエルはレバノンとシリアの国境付近に位置するシェバ農場一帯を占領し続けていますが、ここは水源の一つです。この土地の占領が今回の紛争の背景の一つになっています。


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