2006年9月25日(月)「しんぶん赤旗」
安倍氏に問いたい人脈・カネ
耐震偽装事件
日歯連事件
自民党総裁に選出され、二十六日には首相に就任することになる安倍晋三官房長官。一国の長となるだけに、この間指摘されてきた疑惑・問題にどう答えるのか――。
「安晋会」めぐる疑惑
多くの被害者を出した耐震強度偽装事件。元一級建築士の姉歯秀次被告らの責任が司法の場で問われていますが、国土交通省に働きかけた伊藤公介元国土庁長官など政治家の関与についての究明は、国会の課題です。
国交省が昨年十一月、事件を公表する直前、偽装マンションを販売したヒューザー社長の小嶋進被告が議員会館を訪ね、安倍氏の政策秘書に相談、政策秘書が同省審議官に要望を伝えていたことが国会で明らかになりました。
小嶋被告は、安倍氏を支援する「安晋会」に入っており、その会長から安倍氏の政策秘書を紹介してもらったといいます。
安倍氏は国会で、この問題をただされ、「安晋会」の「会長ではない」としたものの、「代表幹事」の名刺をつくった人物が、秘書に小嶋被告を紹介したことは認めました。「安晋会」については、「慶応の同窓の方々が親睦(しんぼく)を図る会としてつくられ、私がそこに呼ばれ、それで私の名前をとって、じゃ、年に一、二回開こうかということになった」と説明しました。
「安晋会」は政治団体の届け出をしていませんが、週刊誌には、二〇〇三年の暮れか〇四年の初めに、会費二万円でパーティーが開かれ、安倍氏が「ゆくゆくは総理総裁になれるよう研さんしたい」とあいさつしたという企業経営者の証言が載っています。ヤミ資金集めの可能性があります。
「安晋会」の代表幹事は、安倍氏が〇三年九月、自民党幹事長に就任した翌月に「21世紀政治研究会」という政治団体の設立を総務省に届け出ています。
安倍氏の資金管理団体「晋和会」の収支報告書によると、この政治団体から、同年十二月に二回にわたって計百三十六万円を受けています。ところが、この政治団体は、収支報告書を一度も提出せず、政治資金規正法にもとづいて政治団体の資格を喪失しています。
国会で安倍氏は、「安晋会」の〇三年の忘年会にヒューザーの専務が出席したことを同会からもらった座席表で確認したと認めています。
耐震偽装事件にかかわった「安晋会」人脈について、きちんとした説明が必要です。
あいつぐ献金、なぜ
自民党旧橋本派への一億円ヤミ献金はじめ、膨大なカネを政界にばらまいた日歯連事件の全体像は未解明です。
自民党の大物議員が軒並み名前を連ねる日歯連の「顧問会議」のほか、安倍氏も加わる自民党の政策集団「NAIS(ナイス)」も、事件の贈賄側当事者、臼田貞夫前会長が頼りにしました。
日歯(日本歯科医師会)は、医師に限られていた、そしゃく機能障害の診断書を歯科医も作成できるよう求めていましたが、その要望が〇一年九月、厚生労働省の障害保健福祉部長通知ということで実現しました。臼田前会長は、通知が出た六日後の日歯代議員会で、次のようにのべました。
「安部(ママ)官房副長官、今田障害保健福祉部長、福島の根本衆議院議員の甚大なるお力添えがあったことを強調したい」(「日歯広報」〇一年九月二十五日号)
安倍氏は、日歯連から二〇〇〇年から〇三年に計百八十万円の献金を受け取っています。日歯連は、事件で〇四年は政界への献金を自粛しましたが、〇五年に再開、安倍氏は三百万円を受領しています。
「甚大なるお力添え」と献金との関係も解明が求められます。