2006年9月22日(金)「しんぶん赤旗」
庶民大増税 なぜなぜ問答
財源論編 13
Q 大企業も消費税を払っているの?
「大企業も買い物すれば消費税を負担するのではないか」という質問がありました。
たしかに、企業も商品やサービスを購入するときには、その価格に上乗せして消費税を払います。しかし、「買い物をするときに消費税を払う」ということと、「実際にその消費税が自らの負担になる」ということは、まったく違います。
負担なし
以前(八月三十一日付)説明したように、消費税は「売り上げにかかった消費税」から「仕入れにかかった消費税」を差し引いた額を、事業者が税務署に納税する仕組みです。大企業も税務署に消費税を納税しますが、大企業が「仕入れ」で払った消費税は、「売り上げにかかった消費税」、つまり消費者から集めた消費税から差し引かれてしまい、大企業自身の負担にはならないのです。
この場合、実際に消費税を負担しているのは、この大企業の製品を買った消費者です。
かりに、「売り上げ」より「仕入れ」の方が大きくて、差し引いてマイナスになった場合は、逆に税務署から企業に支払われる(還付される)ことになります。工場を新設したときや、輸出企業の場合(輸出分は消費税が免税)に、還付が発生します。
「益税」に
この場合の「仕入れ」とは、原料や部品を買う場合だけではありません。商品の運送費や倉庫代、製造機械の購入費、工場やビルの賃貸料、水光熱費、派遣労働者の派遣料など、およそ企業活動の上で必要な商品やサービスの購入のすべてが、「仕入れ」とみなされます。
大企業の中には、部品などを納入する下請け中小業者などに「消費税分の単価切り下げ」を無理強いして、仕入れの際に実質的には消費税を払っていない場合もあります。それでも帳簿上は消費税を払った計算になりますから、売り上げにかかった消費税から引くことができます。
この場合、消費者と下請け業者が消費税を二重に負担する結果となり、税務署に納税されない分が大企業の「益税」になってしまいます。
大企業にとっては消費税が増税されても少しも困らないどころか、「増税は大歓迎」なのです。(つづく)
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