2006年9月19日(火)「しんぶん赤旗」

ベネズエラ大統領選

米国が干渉の動き 野党を支援

民間団体に資金提供も


 十二月のベネズエラ大統領選挙にむけ、野党勢力はまとまりを欠くなかで西部スリア州のロサレス候補が最有力候補となり、現職のチャベス大統領に対抗しています。野党陣営が苦戦を強いられるなか、米政権による野党支援の動きが伝えられ、与党は警戒を強めています。(島田峰隆・党国際局員)


 十三日発表の世論調査では、チャベス氏が58%の支持を得たのに対しロサレス氏は17%でした。

 与党勢力は九日、首都カラカス市内でチャベス大統領を迎えた集会を開催。チャベス氏は、貧困削減や識字率向上など政権就任後の成果を強調するとともに、支持者らに対し、「団結を強め、革命過程に携わる組織の強化を進めよう」と呼びかけました。

 ロサレス氏も同日、西部タチラ州で集会を開き、「貧困や暴力の根絶」「国の発展と近代化」などを提起しました。外交面では米国と距離を置くポーズをとりましたが、チャベス大統領の対キューバ支援を批判し、その停止を主張しました。

CIA部局を新設

 どの世論調査もチャベス再選が有力だとしています。そのもとで、苦戦する野党をブッシュ米政権が支援する動きが出ています。

 ネグロポンテ米国家情報長官は八月半ば、ベネズエラとキューバでの情報活動を監督するために、中央情報局(CIA)の特別部局を新設すると発表しました。

 米国際開発局(USAID)は、ベネズエラの「民主主義を促進する」という口実で、同国内の民間団体に資金援助をしてきました。このほど、USAIDが発表した資料によると、同局は二〇〇四年から〇五年にかけて百三十二の契約を結び各種団体に資金を提供。これらの契約の大半は、団体の実態が明確に特定できない形で公表されており、反政府活動をする団体に支援しているとの疑念が強まっています。

野党候補の地元に

 七月には駐ベネズエラ米国大使がロサレス候補の地元、スリア州を訪問し、USAIDが援助している民間団体と懇談しました。

 同州にはベネズエラの石油の約40%が集中し、富裕層を中心に十九世紀ごろから分離独立の傾向があります。ロサレス候補は同州の「自治」を支持してきました。同米国大使も〇五年に同州を訪問して「独立国」と呼ぶなど、ロサレス氏に同調しています。

 与党側は、「大統領選はチャベス対ロサレスではなく、チャベス対ブッシュ(米大統領)のたたかいになっている」と指摘。米国が選挙に干渉しないよう要求しています。これまでに全国の各投票所ごとに、六人の支持者でつくる「選挙小隊」を約四万五千隊組織。国民に支持を訴え、不当な干渉が行われないよう警戒しています。


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