2006年9月19日(火)「しんぶん赤旗」
「新兵器は自国民で試す」
実用化で米軍首脳
まずは米国民で試してから―米軍が「群衆鎮圧」のためとして開発中の新兵器について、米軍首脳が戦場での実用化の前に米国内で「人体実験」する必要があるとの考えを示しました。
この兵器は相手を殺すことを目的としていないとして、米軍は「非致死兵器」と呼んでいます。電磁波の一種、ミリ波を集束して発射し、皮膚に「耐えられないほどの焼け付く感覚」(米紙サンディエゴ・ユニオン・トリビューン)を与えるというもの。「身体に障害を残すことはない」(同紙)という触れ込みで、実用化すれば、催涙ガスに代わるものになるといいます。
十四日付の米紙ヒューストン・クロニクルは、ワイン米空軍長官が記者団に対し、開発中のこの新兵器について、「米国内で自国民に対して使えないならば、戦時には使えない」と述べたと伝えました。
「もし私がこの非致死兵器でだれかを撃ち、予想に反して、けがをしたと相手から訴えられたら、私は世界中の報道機関に攻撃されるだろう」としており、国際世論を意識していることは明らかです。
「非致死兵器」といっても、残虐性はまぬかれないことを認めたも同然です。それでも、この兵器で「負傷しない」ことが実験で証明されれば、空軍は予算を投入し、開発を続ける姿勢です。(ワシントン=山崎伸治)