2006年9月19日(火)「しんぶん赤旗」

志位委員長、パキスタン首相と会談

世界の平和秩序、テロ根絶の方途、核兵器廃絶で一致


 【イスラマバード=豊田栄光】パキスタン訪問中の日本共産党の志位和夫委員長は十八日午後、同国のシャウカット・アジズ首相と、イスラマバードの首相官邸で会談しました。世界とアジアの平和秩序、テロ根絶の方途、核兵器廃絶の問題の三つのテーマで意見交換しました。


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(写真)会談を終え握手するシャウカット・アジズ首相(右)と志位和夫委員長(左)=18日、イスラマバード

 アジズ首相は冒頭、日本共産党代表団の今回の訪問について、「両国間関係をいっそう豊かにするものです」と歓迎、志位氏は同首相の招待に感謝を表明しました。

 志位氏は、仏教文明とギリシャ文明が合流した古代遺跡タキシラを前日に訪問し、アジズ首相が常々指摘している「アジアの十字路」というパキスタンの地政学上の重要な特徴をあらためて認識したと述べるとともに、世界とアジアの平和秩序の課題を提起しました。

 志位氏は、アジズ首相と昨年八月、東京で会談した際に取り上げた同首相が提唱する「公正な秩序の基本原則」―(1)強固な国連システム(2)紛争の平和解決(3)異なる社会制度・価値観・文明への寛容と理解(4)平等で公平な経済秩序―にあらためて触れ、「この原則は、どんな大国であれ、単独行動主義、覇権主義に反対し、国連憲章にもとづく平和秩序の確立をめざす日本共産党の綱領と共通するものだ」と語りました。

 志位氏は、最近のアジズ首相の演説に触れながら、パキスタンが南アジア地域協力連合(SAARC)、上海協力機構(SCO)、東南アジア諸国連合(ASEAN)など、地域の平和共同体重視の外交に注目していると話しました。

 志位氏は、北東アジアにおいては、北朝鮮の核開発問題を話し合う六カ国協議を成功させ、朝鮮半島の非核化、地域の平和の機構への前進が、重要な課題となっていると述べました。

 アジズ首相は、志位氏の指摘に「まったくその通り」とうなずき、パキスタンは中央アジア各国とトルコ、イラン、アフガニスタンとともに「経済協力機構(ECO)」という地域機構にも力を入れている、と語りました。

 つぎに、国際テロの問題で志位氏は、「パキスタン政府が、困難に直面しながら、この問題にとりくんでいることは承知している」と述べたうえで、「テロ根絶にはつぎの三つの原則が大切だと思う」と強調しました。

 ――テロが生まれる根源を除去すること。貧困をなくし、地域紛争を平和的に解決すること。

 ――テロを特定の宗教や文明と結びつけない。異なる文明の相互理解と共存が大切であること。

 ――テロ根絶は、国連中心、国連憲章の原則、国際法、人道法、基本的人権と両立する方法で行われるべきであること。

 志位氏はとくに、「テロ根絶の名目で無法な戦争に訴えるなら、テロリストをよろこばせ、テロを増殖させるだけだ。それはイラク戦争で証明されている」と指摘、イラク戦争を支持も派兵もしなかったパキスタン政府の立場を評価しました。

 アジズ首相は「まったくそのとおりだ。(三点の指摘は)大変に重要だと思う。テロにいまや国境はない。貧困、民主主義の欠如、紛争を平和的に解決する手段のないことなどテロの根源をなくす努力が大切だ」と応じました。

 アジズ首相は、核兵器問題について、「パキスタンは平和を大切に思い、いかなる国も侵略する意図はない。核兵器についても、自ら使用する意図はないことを明確にしている」と話しました。

 志位氏は、この発言に関連して、昨年八月訪日時のアジズ首相の核問題についての言明や、非同盟諸国首脳会議で採択されたばかりの期限を定めた核兵器廃絶決議について触れて、「唯一の被爆国日本の政党として要請したい。パキスタンは核保有国だが、そうであるからこそすみやかな地球的規模での核兵器廃絶をめざし、そのためのイニシアチブを、適切な機をとらえて発揮してほしい」と述べました。

 アジズ首相は、非同盟首脳会議の決議にはパキスタン政府も賛成したと述べ、志位氏の提起に、「当然です。私たちはそうするでしょう」と答えました。

 最後にアジズ首相は議論した三つのテーマで、「私たちは大変に似通った見解を持っている」と語り、両者はこれらの問題で意見が一致したことを確認しました。

 会談にはパキスタン側から、ラーマン首相顧問、サイド上院外交委員長、サタル下院外交委員長、トゥファイル外務次官補、アクラム首相府外交顧問が同席しました。


韓国・パキスタン訪問報告会

韓国・パキスタンを訪問して

日本共産党幹部会委員長 志位和夫

 日時 九月二十五日(月)
     午後一時半から
     (午後一時開場。四時半には終了します)

 場所 日本共産党本部大会議場
     (東京都渋谷区千駄ケ谷4の26の7)

 主催 日本共産党中央委員会

 ※CS通信で中継します。全国の日本共産党事務所が設定する会場で、同時刻または別時刻に視聴することができます。時間・場所の詳細は、最寄りの党事務所・支部などにお尋ねください。


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