2006年9月18日(月)「しんぶん赤旗」
機動戦闘車を開発へ
防衛庁 海外派遣でき強火力
防衛庁は、輸送機での空輸ができるなど迅速な展開能力を持つ「機動戦闘車」の開発を二〇〇七年度から始めることを決めました。同戦闘車は、米軍が世界各地に緊急展開するため開発・配備している戦闘装甲車「ストライカー」に酷似しています。防衛庁は八年間かけて開発し、その後に配備したい考えで、自衛隊の海外への展開・戦闘能力の強化につながるものです。
防衛庁によると、「機動戦闘車」は、(1)高い路上機動性(2)輸送機で空輸可能(3)軽戦車などを撃破できる火力―を特徴としています。
機動性の点では、走行装置をキャタピラーではなく、八輪のタイヤにし、走行速度は時速百キロメートル程度を目指します。
空輸の点では、陸上自衛隊が保有する戦車は車体が重く、輸送機による空輸ができませんでした。「機動戦闘車」では重量を二十六トン以下に抑え、空輸を可能にします。防衛庁は「海外での運用は想定していない」としていますが、国外への空輸も当然可能です。
また火力では、105ミリ砲を装備し、「敵」の軽戦車を撃破することもできるようにする計画です。陸自が保有している車両には「機動戦闘車」に似たものとして、87式偵察警戒車や96式装輪装甲車がありますが、これらの車両に搭載している25ミリ機関砲や12・7ミリ重機関銃に比べ、強力な火力を持つことになります。
一方、米軍の「ストライカー」も、車輪は八輪で、C130輸送機などで空輸することが可能です。「ストライカー」を配備した部隊(ストライカー旅団)は、九十六時間以内で世界のどこへでも展開可能とされています。同旅団は、イラクにも出撃し、市民を虐殺した掃討作戦にも加わっています。
「ストライカー」には、歩兵輸送型や偵察型など十種類のタイプがあります。このうち自衛隊の「機動戦闘車」に極めて似ているのは、「機動砲システム」と呼ばれるタイプ(今年七月に配備開始)で、105ミリ砲が搭載されています。防衛庁は否定していますが、「機動戦闘車」は「ストライカー」をモデルとして開発されると報じられています。(NHK、九月一日)
防衛庁は、〇七年度予算の概算要求で、二十六億円の開発費を求めています。