2006年9月16日(土)「しんぶん赤旗」

庶民大増税 なぜなぜ問答

財源論編 9

Q 財政悪化の原因どこにあるの?


 いったい、今のような財政悪化をもたらした原因は何だったのでしょうか。まず、データを見てみましょう。

70年代後

 図1は、財務省が発表している「国・地方の長期債務残高」の推移です。これを見ると、借金がいつ増えたのかがわかります。とくに、対国内総生産(GDP)比の数字の伸び(折れ線グラフ)を見ると、財政悪化の時期がはっきりします。一つの時期は一九七〇年代の後半から八〇年代半ばにかけてです。もう一つの時期は九二年ごろから最近までの時期です。

 この二つの時期の財政悪化の原因を探るため、国・地方の歳出と税収のGDP比の推移(図2)を見てみましょう。第一の時期(七〇年代後半以降)の場合は、七五年ごろに税収が大きく落ち込んだことと、その後に歳出が急増したことが原因です。第一次石油ショックの後の不況と七七、七八年ごろに公共投資が急激に拡大されたためです。

90年代〜

 九〇年代以降はどうでしょうか。一つは九九年ごろまで歳出が急増したことです。これは、「公共投資六百三十兆円計画」のもとで、大型公共事業が拡大されたためです。もう一つは税収が長期にわたって落ち込んでいることです。これは、バブル崩壊による不況に加えて、大企業や高額所得者、大資産家などへの減税が繰り返されてきたからです。二〇〇〇年以降は、歳出の方はGDP比で減る傾向にありますが、税収は落ち込んだままなので、毎年借金が増えていく構造になっています。

 このように、九〇年代以降に政府の借金が急増した原因は、(1)公共事業などの浪費による歳出の増加(2)大企業・金持ち減税による税収の落ち込み―です。さらに、九七年の九兆円負担増の大失政による景気の落ち込み、小泉「構造改革」によるリストラ促進や社会保障改悪など、誤った経済政策によって国民の所得が伸びないことも、税収が増えない原因になっています。こうした原因を作り出した自民党などの悪政に、財政悪化の責任があるのです。(つづく)

図1

図2

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