2006年9月16日(土)「しんぶん赤旗」
イラン核問題
「米下院報告はニセ情報」
IAEAが書簡で批判
【パリ=浅田信幸】国際原子力機関(IAEA=本部ウィーン)が米国にあてた書簡で、イランの核開発に関する米下院情報特別委員会の報告を「誤ったニセの情報」を振りまくものだと批判していることが明らかになりました。
AFP通信によると、米下院特別委員会の八月二十三日付報告が“イランによるウラン濃縮活動は軍事転用に可能なレベルに達し戦略的な脅威になっている”と主張している問題で、書簡は核兵器製造に必要な90%の濃縮には遠く及ばない3・6%のレベルでしかないと指摘しました。
IAEAのフレミング報道官は、「IAEAの一体性が非難されたので、事実を一からはっきりさせる」ために「反論しなければならなかった」と強調しました。
十四日付米紙ワシントン・ポスト(電子版)によると、書簡は十三日、米下院情報特別委員会のへクストラ委員長(共和党)に送られました。
報告自体は委員会で採択されていませんが、ネグロポンテ国家情報長官のオフィスが手を入れたものだといいます。
同紙はまた、米国のオルブライト元核査察官が「イラク戦争前に似ている」とのべたと紹介しています。
ブッシュ米政権は二〇〇三年三月のイラク戦争開始前、大々的な情報操作を通じてフセイン政権が大量破壊兵器を保有していると主張。確実な証拠がないとして米国に同調しなかったIAEAを非難し、国際法を無視したイラクへの武力攻撃に踏み切りました。結局、開戦の理由とされた大量破壊兵器は発見されず、大統領もこの点での誤りを認めざるを得ませんでした。