2006年9月14日(木)「しんぶん赤旗」

パレスチナ経済

崩壊の瀬戸際

ハマス政権誕生で援助停止

国連が警告 貧困率66%にも


 【パリ=浅田信幸】「パレスチナ占領地域の経済は崩壊の瀬戸際にある」―国連貿易開発会議(UNCTAD=本部ジュネーブ)は十二日、危機的な状況に警告を鳴らす「パレスチナ人民援助報告」を発表し、経済再建に向けた勧告を明らかにし、国際社会に援助を呼びかけました。


 報告は、一月末のパレスチナ選挙後の武装抵抗組織ハマス政権誕生を理由とする国際援助停止が続けば、一人当たりの収入は二〇〇〇年以前の半分以下、失業率は50%となり、全世帯の三分の二が貧困ラインを下回ることになると指摘しています。米国などは三月、ハマス主導の自治政府発足に対し直接援助を停止しています。

 パレスチナ経済は昨年末までにもすでに「イスラエルの分離壁建設による移動規制の強化、物理的資本の破壊、ヨルダン川西岸の農地の五分の一の消滅により、生産力の著しい低下」が生じており、援助停止が追い打ちをかけた形になりました。

 報告は、このために「貧困が拡大し深まっている」と指摘。貧困率が〇四年後半期の61%から今年後半期には66%になり、「前例のない失業、貧困、社会的緊張に覆われる」と予測しています。

 また援助増大の「楽観的シナリオ」で予測しても、「パレスチナ経済が堅調な成長に達することはほとんどありそうにない」とし、失業率は高止まりしたまま一人当たり所得も一九九九年水準にとどまるとの見通しを明らかにしました。

 その上で、援助の量と質の問題を提起し、パレスチナ当局には貧困を抑制するために社会サービスの削減を回避することや、イスラエルに深く依存する経済交易体制の改革に向けた戦略を持つよう勧告しました。

 パレスチナでは十一日、ハマスとパレスチナ解放機構(PLO)との間で統一政府の樹立が合意されました。統一政府が実現すれば、ハマス政権を迂回(うかい)した変則的な国際的援助が正常化すると期待されています。


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