2006年9月14日(木)「しんぶん赤旗」
療養病床の診療報酬改定点数
実際の費用と落差
厚労省がデータ隠し
今年七月に実施された療養病床入院患者の診療報酬の改定点数と、実際の患者一人あたり費用との間に大きな差があることが十三日、厚生労働省の調査資料でわかりました。資料「患者一人一日当たり費用」は、同日開催された中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬調査専門組織の分科会に提出されたもので、診療報酬改定の基礎データの一つ。分科会委員からは「こんな大変なデータが、なぜいまごろ出るのか」と厚労省の“資料隠し”に批判が相次ぎました。
今回の診療報酬改定では、療養病床患者への診療報酬点数を大幅に引き下げましたが、厚労省の新資料によれば、患者一人あたりにかかる費用はそれほど低くありません。厚労省は、診療報酬改定を決めた中医協にも同資料を示しておらず、診療報酬引き下げの根拠のなさが浮き彫りになりました。
今回改定では療養病床入院患者を「医療区分」1、2、3にランク付けしました。「区分1」は「医療の必要性が低い」として診療報酬点数を従来の約七割以下などに決定。「区分3」の点数と比べると「区分1」は半分以下になりました。この結果、「区分1」の患者を多く受け入れる医療機関は経営が困難になり、全国各地で療養病床からの「患者追い出し」につながる事態が生まれ、療養病床大削減の「推進力」になっています。
ところが、調査資料によれば「区分1」患者の費用は約三千五百円で、「区分3」患者の費用約五千円の六―七割。診療報酬点数を半分以下にする根拠にはなりません。
分科会委員からは「点数と費用の落差が大きすぎる」「まるで『後だしジャンケン』だ」と厚労省への批判が集中。厚労省の担当者は、「(診療報酬点数は)必ずしも調査結果と同じではない。不自然ではあるが、これは政策判断だ」と弁明しました。