2006年9月13日(水)「しんぶん赤旗」
小沢・民主 自民とどこが違う?
民主党の小沢一郎代表は代表選立候補にあたり「旧来のしくみを根本的に変え、転換しなければならない」(十一日の記者会見)とのべました。同日発表した基本政策も次期政権を選ぶ自民党総裁選を意識したものとなっていますが、その自民党政治と対決する中身はあるのでしょうか。
内政
規制緩和の方向も消費税増税も同じ
小沢氏は「格差をなくす」ことを最重要課題として雇用などで「日本型セーフティーネット」を構築するとしています。
しかし、小沢氏のいう「セーフティーネット」は自由競争が前提です。基本政策では「野放図な非正規雇用の増加が社会の二極化、不安定化を招いている」としていますが、実際はこの間の派遣労働原則自由化など労働法制の規制緩和に民主党はほとんど賛成してきました。
小沢氏は著書『小沢主義』で「改革とは最初から痛みや犠牲を伴う」と明言しています。格差拡大をもたらした小泉「改革」の規制緩和の方向性に賛成、後押ししながら「格差をなくす」といっても説得力はありません。
消費税については、基礎年金を「消費税を財源として一人6万円(月額)をめどに支給」と明記。行財政のムダを省いても社会保障関係費が増えて足りなくなれば「消費税として国民に負担していただく以外にない」と、将来的な税率アップも示唆しています。これでは、歳出削減をいいながら消費税増税を公言している安倍晋三官房長官と変わらず、国民に痛みを押し付ける点で自民党と共通しています。
外交・安保
集団的自衛権認め海外で武力行使へ
外交分野では「先の戦争に対する反省を踏まえて」国家と国家の「共生」を打ち出しました。一方で、「日米両国の相互信頼関係を築き、対等な真の日米同盟を確立する」という日米関係基軸の姿勢は変わりません。
安倍氏が容認に踏み込んでいる集団的自衛権の扱いについては「個別的であれ集団的であれ、わが国が急迫不正の侵害を受けた場合に限って行使する」と表現しました。
しかし小沢氏は記者会見で、日本が攻撃を受けた場合の反撃にとどまらず「周辺事態を放置すれば日本への攻撃につながる場合」も「急迫不正の侵害」にあたり、集団的自衛権の発動が可能だとしています。武力行使を伴う国連の活動に日本の自衛隊、または別組織の「待機軍」が参加するのは「憲法上許される」(小沢氏)としています。
結局、集団的自衛権の行使や国連を口実にすることで自衛隊の海外での武力行使を積極的に推進する動きは、自民党総裁選候補らと同様です。
基本政策では「日本国憲法に非常事態の規定そのものがない」として、その「是正」という形で改憲を明記しました。既に民主党の「憲法提言」では九条改憲の方向を盛り込んでいます。基本政策が党内の改憲論議を加速させ、自民党との「改憲競いあい」が本格化することになりかねません。
党内から「安倍は保守亜流。今や保守本流は民主だ」(菅直人代表代行、「朝日」五日付)という声が聞かれる民主党。「対決」といっても自民党と似かよった保守政党同士の争いです。(古荘智子)