2006年9月13日(水)「しんぶん赤旗」
高金利特例 命の問題
元多重債務者「すぐ下げて」
実名会見
高金利引き下げ全国連絡会は十二日、東京都内で記者会見し、貸金業の貸付上限金利の即時引き下げをあらためて求めました。特例を貸金業者に認めるなど高金利を存続させる金融庁案について、元多重債務者が実名で「多重債務者は命がかかっている」と高金利の被害実態を訴えました。
訴えたのは埼玉県の「夜明けの会」で相談員をする吉田豊樹さん(34)。十八歳から生活資金のためにクレジットカードの借り入れを利用し、会社員だった二〇〇一年にクレジット、サラ金、ヤミ金に計約九百万円の債務を抱えたといいます。
「私の家族は私のために何千万というお金を出した。(指定暴力団山口組系)旧五菱会のヤミ金にまで借りざるをえなくなった。首をつろうと考えた」と声を詰まらせながら話しました。「夜明けの会」にたどりつき、〇一年に自己破産。現在は相談員として、十二日も自殺を考えている人の相談を受けました。
吉田さんは「(金融庁案のように)九年も(高金利が)残るのは長すぎる。何万人も死んでしまう。高金利を今すぐに下げてほしい。政治家の人たちにも実態をわかってほしい」と訴えました。
同連絡会代表幹事の新里宏二弁護士は「多重債務は命の問題で、一刻を争う。特例を何年も残すという自民党内の議論は非常に悠長だ」と指摘しました。
本多良男・全国クレサラ被連協事務局長は、利息制限法の金額区分を変更する金融庁案は十万―五十万円の借り入れで金利を年18%から20%に、百万―五百万円で15%から18%に引き上げるもので「大改悪だ」と指摘。「利息制限法の金利で(高金利を)再計算し、生活の立て直しを図ってきたのに、それを許さなくするものだ。被害者救済の道を閉ざす」と強調しました。