2006年9月10日(日)「しんぶん赤旗」
フセイン政権
「アルカイダと無関係」
米上院報告書 開戦の「根拠」否定
【ワシントン=山崎伸治】米上院情報特別委員会は八日、イラク戦争をめぐるブッシュ政権の秘密情報活動に関する報告書を公表しました。そのなかでイラクのフセイン政権と国際テロ組織アルカイダとは協力関係になかったと結論づけました。
報告書は「フセイン(イラク元大統領)はアルカイダに不信を抱き、イスラム過激派を政権に対する脅威とみなして、アルカイダが物的支援や活動上の支援を要求するのをすべて拒否していた」と指摘しました。また、同元大統領が「イラクの聖戦アルカイダ組織」指導者のザルカウィ容疑者(六月に米軍が殺害)の居場所をつきとめ、拘束しようとして失敗したこともあげています。
またイラク戦争前、米情報機関が、フセイン政権が同時テロ事件などアルカイダの活動について、事前に情報をつかんではいなかったと分析していたことを指摘しています。
フセイン政権とアルカイダとの関係は、イラク開戦の「根拠」の一つともされてきました。両者に関係がなかったことはこれまでも指摘されてきましたが、ブッシュ大統領は八月二十一日の記者会見でも、フセイン元大統領にはザルカウィ容疑者との関係があったと明言しています。
今回の報告書公表で、大量破壊兵器保有のうそとともに、その口実も完全に破たんしたと言えます。九日付の米紙ワシントン・ポスト(電子版)は「ブッシュ政権批判者に新たな攻撃材料を提供した」と指摘しています。