2006年9月8日(金)「しんぶん赤旗」
庶民大増税 なぜなぜ問答
財源論編 5
Q 消費税を「福祉目的税」にしたら?(下)
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「福祉目的税」がごまかしにすぎないとすれば、消費税を「福祉目的税」にしても、何の問題もないのでしょうか。
いいえ、そうではありません。実は、国民にとって重大な被害を及ぼすことになります。
税で賄う
財界や自民党のいう「福祉目的税」の議論の中には、「消費税はすべて社会保障に充てる」というだけにとどまらず、「社会保障はすべて消費税で賄う」という議論もあります。
たとえば、自民党の「財政改革研究会」の中間報告(二〇〇五年十月)では、社会保障の国庫負担分について、すべて消費税で賄うことが提案されています。
ここまで「福祉目的税化」を徹底すると、いったいどういうことになるのでしょうか。この場合は、社会保障分野には「ほかの税」は使われていませんので、消費税を増税しても社会保障分野で余る「ほかの税」はありません。したがって、一見すると「流用」がないようになりますが、実質的には「流用」が起こることは、前回(七日付)の(3)の場合と同じです。
さらに重大なのは、「社会保障を消費税だけで賄う」ということは、所得税や法人税などのほかの税は「社会保障には一円も回さない」ということになるという点です。
これは、単に消費税の「福祉目的税化」にとどまらず、「ほかの税」を「非・福祉目的税化」することにほかなりません。国民から集めた所得税を一円も社会保障に還元しない。こんなことが許されるでしょうか。
際限ない
しかも、こうなると、社会保障予算を増やしたかったら消費税増税をがまんしなければならなくなります。逆に、消費税増税がいやなら社会保障予算を抑制しなければなりません。これは、国民に犠牲を押し付ける便利な方法です。
二〇〇三年度に社会保障費に充てられた税と保険料の総額は八十二兆円で、このうち税は二十八兆円です。税の部分を消費税(1%=二・五兆円)で賄うとしても、税率を11%以上にしなければなりません。全体だと、税率33%もの消費税が必要です。
消費税の「福祉目的税」化は、際限ない増税に道をひらくことになります。(つづく)