2006年9月6日(水)「しんぶん赤旗」
庶民大増税 なぜなぜ問答
財源論編 3
Q 消費税を「福祉目的税」にしたら?(上)
これまでにみたように、消費税が社会保障のために使われる保障はありません。「では、福祉目的税にしたら」という意見もありますが、どうでしょうか。
現在でも
ご存じでしょうか。実は、今でも消費税の一部は「福祉目的化」されているのです。今年度の消費税収十三・二兆円のうち地方消費税(税率1%分)と地方交付税(国税分の29・5%)を除く国の一般会計分七・四兆円については、予算書の総則の中に使途が記載されています。それは、基礎年金、老人医療、介護の三つの分野です。消費税だけでは不足する分は、ほかの税が充当されている計算になります。
この予算書の措置は一九九九年度から始まったものです。当時、自民党と自由党が連立政権をつくるにあたって、当時の自由党党首だった小沢一郎氏の持論であった「消費税の福祉目的化」を自民党が受け入れたのです。
しかし、九九年度に消費税が「福祉目的化」されたからといって、この年の社会保障予算が大幅に増額されたわけではありません。それどころか、九九年には厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢引き上げや賃金スライド凍結などの改悪法案が提出される(法案成立は翌年)など、社会保障の改悪が推進されました。
連続改悪
一方、九九年度には、公共事業等予備費(〇・五兆円)の創設などの浪費が増やされました。また、法人税の税率引き下げ、所得税・住民税の最高税率の引き下げが行われたのも九九年度でした。
消費税は、社会保障に使われるのではなく、こうした浪費や大企業減税のために使われてしまったのです。
その後も、社会保障は改悪の連続です。二〇〇〇年度には介護保険制度が始まりましたが、国庫負担は従来の二分の一から四分の一に減らされました。年金も老人医療も改悪が繰り返されました。
「福祉目的税」というのは、毎年度の予算書で決める「福祉目的化」と違って、法律で「福祉目的」を明示するというだけのことです。これでは、今までと実質的には大きな違いはなく、社会保障が拡充される保障にはなりません。(つづく)
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