2006年9月4日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

がんばる商店街

人が集うまち


 自民党政治による悪政がすすめられ、小泉「構造改革」、大型店の進出・撤退などで、街がさびれ、商店街は“シャッター街”という状況が全国でおきています。そうしたなかでも「負けてたまるか」と地域の特性をいかしてがんばる、街・商店街づくりがおこなわれています。


天神市(てんじんいち) 松江

お年寄りが安全に買い物できるよう

街路や休憩所、トイレ整備

地図

 島根県松江市の天神町商店街では高齢化がすすむなか、認知症対策の神様「おかげ天神」を建立し、天神市の開催(毎月二十五日)やふれあいプラザ「まめな館」などを市と連携して設置、バリアフリー街路の整備などの「お年寄りにやさしいまちづくり」が「人にやさしいまちづくり」へと発展しています。

 同商店街は八月、経済産業省の「がんばる商店街七十七選」に選ばれ、フリーマーケット出店の手続きなどを緩和する「しまね版特区」にも認定されました。恒例となった天神市は八月二十五日も、買い物やお参りなど多くの人でにぎわいました。

 買い物をし、交流館「いっぷく亭」で休んでいた女性(73)=市内灘町=は「休憩がちょいちょい必要な私らにはいい場所。知人がボランティアでおられ親しみがわいて」と笑顔で話します。

 「天神市を通して新しいお客さんも増えました。季節に合わせた商品を店頭に出すなどアピールするようになりました」と語るのは酒店の岡幹泰さん(52)。

 商店街の歴史は古く、江戸時代には白潟天満宮の門前町として栄え、明治末期には松江銀座と称されるにぎわいを見せていました。一九八一年ころからドーナツ化現象や郊外型大型店の進出などで商店街は衰退の一途をたどりました。

 そこへ九九年、市からあった提案は「お年寄りにやさしいまちづくり」。高齢化率の高い天神町を中心とした白潟地区で全国に先駆け、高齢者の住みよいモデル地区をというものでした。

大学生も運営に

 危機感をもっていた商店街は若手で「天神町街づくり委員会」を発足。同時に市・商工会議所・商店街役員でのワーキング会議も始まりました。

 会議や視察を重ね高齢者が出かける動機にお参りが多いことがわかり、白潟天満宮に「おかげ天神」を建立、高齢者が集いやすいよう市と連携して空き店舗を改装し「まめな館」「いっぷく亭」をオープンしました。

 また、お年寄りが安全に買い物ができるよう歩行者天国の天神市が始まりました。天神市が始まって以来、天神市への出店者が増え、空き店舗への出店希望が出るようになりました。二〇〇〇年には島根大学生が運営・体験するチャレンジショップ「おかげ庵」をオープンし、〇二年には市がロータリーに公衆トイレを設置しました。

 〇四年からは市がかかわってさらに新しい動きが始まりました。県道拡幅に伴い建て替えるビルに店舗や高齢者専用・市営住宅が入り、天神市に出店していた精神障害者通所授産施設が市の助成を受けて移転し、クッキー工場を兼ねたレストランを開業しました。

車道との段差解消

 天神町北町では日本初の電線軒下化アーケードや、車道を歩道と同じ高さにしたお年寄りや子どもにやさしいバリアフリー化も行われています。

 商店街の中村寿男理事長は「視察も多く、今後お年寄りも参加できる町づくりが必要とみんないわれます」と話し、塩野秋三副理事長は「二年前から近隣の三商店街と力を合わせ商店街おこしを行っています」と強調します。

 市健康福祉部の石飛秀人次長は「高齢者も含め障害者の方が働いたり、集えることに今後も一緒に取り組んでいきたい」と語ります。

 (島根県 桑原保夫)


共同店舗 長崎・諫早

地権者と商人が協力

地元大学や行政もサポート

地図

 長崎県諫早(いさはや)市の中心地、市役所近くのアエル諫早中央商店街の町おこし運動が注目されています。栄町、本町、竹の下通りの三商店街・百十四の商店があり、古くから市民に親しまれ、アーケードをもつ地域型商店街です。

 生鮮食料品店と無料駐車場(一時間)を併せ持つ共同店舗「アエル」を国や市から建設費の補助を受け、地域商業者の手で二〇〇六年五月にオープン。建設用地は50%を商店街で買い取り、残りはまちづくりにたいする意識の強い地権者の全面的な協力を得ることができました。

生鮮食料店ほしい

 ことの発端は、アエル中央商店街の中心的店舗であったサティが〇四年九月に、翌年二月の撤退を表明したことでした。商店街はただちに諫早市と協力して対策協議会を立ち上げ、サティ撤退後の対策の検討を開始し、消費者懇談会なども開いてきました。三十年間営業してきたサティが撤退し、商店街からは生鮮食料品店がほとんどなくなり、懇談会では強い要望が出されていました。

 話し合いを重ね、サティ撤退から一年余で新たな商業施設を建設することができました。市民のまちづくりへの参加を促進しようと、共同店舗二階に、諫早市が一室を借り受けて「まちづくり工房」を併設しています。

住民の交流の場

 専門家の助言や指導を積極的にとり入れ、ここを拠点に、まちづくりのための会議や、さまざまな催しが行われています。「生と死」をテーマにした連続講座や「若返り体操教室」が開かれるなど、地域住民の交流の場にもなっています。また、地元の大学や市民団体も市民のまちづくりをサポートするようにしています。

 アエル中央商店街の平野吉隆理事長は「全国の多くの商店街がシャッター通りといわれるようにさびれていくなかで、私たちの商店街はそうさせてはならないと、みんなで固く団結してがんばってきました」といいます。

 アエル商店街理事会はひきつづき活性化をはかるために、毎月一回から二回理事会を開き、三商店街とともにまちの発展のために、市民とともに歩む商店街づくりにとりくんでいます。会議には、諫早市の担当者も必ず参加し、行政サイドからの協力をしています。

 平野理事長は抱負を語ります。

 「超大型のショッピングセンターが計画されているとの話もあるようですが、うまくいくとは思いません。この商店街のような住民密着型がさらに活性化する必要があると思います。商店街の一角にマンションがあったり、福祉施設があったりの住民に身近な、親しみやすい商店街の創出のために、がんばりたい」

 (日本共産党長崎県中部地区委員長 石丸完治)


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