2006年9月4日(月)「しんぶん赤旗」

米兵、高利ローン漬け

国防総省報告 13―19%が利用


 年利400%という高利の金融業者を利用する米兵が、総兵数の13―19%にも上ることが、米国防総省の議会報告書で分かりました。米軍は対応に追われています。(ワシントン=山崎伸治)


 給料日を返済日に指定することから「給料日ローン」と呼ばれる金融業者は、二週間の貸し付けで15%から30%、年率に換算すると390%から780%という高利子を課します。米国ではここ数年で急成長しており、同報告書によると店舗数は一九九九年の八千軒から二〇〇五年の二万三千軒に増え、貸付総額は年間四百億ドルに達しています。

 同報告書は民間の調査結果をふまえ、現役米兵は一般市民よりも「給料日ローン」の利用頻度が二―三倍高いと指摘。十七万五千人から二十五万一千人の米兵が利用していると推計しています。米兵の利用者は〇五年に平均四・六回借りて、平均二回返済の繰り延べをしています。

 「給料日ローン」業者は基地の周辺に集中的に店舗を開設。たとえばカリフォルニア州の海兵隊キャンプ・ペンドルトンの南ゲート前には二十二軒あり、人口当たりの平均店舗数の四・四倍になっています。

 業者が米兵を狙う理由として報告は、(1)兵士の48%は二十五歳未満で金銭管理がまだ十分でない(2)自立しており、家族の指導や援助がない(3)給与がきちんと支払われ、リストラや出向、首切りをされることがあまりない―ことなどを指摘しています。

 報告は実例も紹介。ある空軍兵士は家賃などが支払えず、「給料日ローン」で二週間後に六百ドルを返済する契約で五百ドルを借りました。ところが返済できず、別の業者からも借り入れ。いずれも返済繰り延べを繰り返した結果、返済額は一万五千ドルにまで膨れ上がりました。

 八月三十一日付の米紙USAトゥデーは「法外な金利はこれまでも兵士を悩ませてきたが、この問題が軍にとっていっそう緊急の懸念になっているのは、イラク戦争に兵士を補充しようと苦労しているからだ」と指摘。「金銭の問題のために派兵に適さない連中が増える傾向にある」との米軍関係者の声を紹介しています。


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