2006年9月4日(月)「しんぶん赤旗」

安倍「政権公約」をみる(1)

憲法改悪

めざすは「戦争する国」


 安倍晋三官房長官が一日発表した、自民党総裁選での政権公約についてテーマごとにみていきます。


 安倍氏は政権公約の冒頭、「政権の基本的方向性」の最初の項目に「新たな時代を切り開く日本に相応(ふさわ)しい憲法の制定」を掲げました。そして「具体的政策」の最後の六項目「『戦後レジーム』から、新たな船出を」に「21世紀の日本の国家像に相応しい新たな憲法の制定に向けて取り組む」を盛り込みました。

なぜ改憲か

 憲法改悪は、まさに安倍氏の政権公約の入り口であり、出口です。

 なぜ改憲なのか。

 安倍氏は「新しい国をつくっていく、国の形、国の理想のすべてのもの、私はそれは憲法だろうと思います。私自身の手で憲法を書き換えていきたい」(一日、自民党中国ブロック大会)と表明しました。

 「新しい国をつくっていく」などといいますが、憲法改悪によって狙われているのはアメリカとともに「海外で戦争する国」にほかなりません。

 政権公約では、日米同盟について「日米双方が『ともに汗をかく』体制を確立」するなどとしています。安倍氏はこれまでも、小泉内閣のもと、与党幹部や官房長官・副長官としてアメリカの「対テロ戦争」戦略に協力し、自衛隊のインド洋派兵、イラク派兵を推進してきました。今後は「双務性を高めていく努力もしなければならない」(同前)としています。これは、日本も参戦して汗をかき血を流す体制にほかなりません。改憲の最大の眼目がここにあることは明らかです。

解釈の変更

 安倍氏は改憲論の一方で、集団的自衛権行使について「具体的な例を検討する」とのべ、集団的自衛権に関する憲法解釈の変更を示唆しました。その目的も「日米同盟をより効果的に機能向上させるため」と主張しています(一日、記者会見)。

 明文改憲を掲げながら解釈改憲のいっそうの推進を掲げるのは、明文改憲を待たずに、いち早く海外での米軍との共同作戦を実現するという意欲の表明であり、安倍氏の一貫した立場です。

 もう一つ、安倍氏の改憲論の土台にあるのは「戦後体制からの脱却」という認識です。それは「戦後体制」の根幹である憲法の平和的民主的原則を否定することにもつながりかねません。

 安倍氏は、今月末開会予定の臨時国会へ向けて「まずは国民投票法の成立を目指す」とのべ改憲手続き法案に執念をみせました(同前)。同時に、「与党の中で、与野党の中で議論を深めていかなければならない」とものべ、公明、民主両党との間で連携を強め、共同改憲案作成の方向を見いだそうとしています。(つづく)


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