2006年9月3日(日)「しんぶん赤旗」
機能しない「生活保護」
困窮者救える制度に
東京にある三つの弁護士会が共同して二日、「東京における生活困窮者の現状と生活保護の課題」をテーマにシンポジウムを都内の弁護士会館で開きました。二百人が参加し、関心の高さを示しました。
3弁護士会がシンポ
生活保護や路上生活者の実態、保護行政の在り方についてパネリストが報告、討論しました。
司法書士の後閑一博氏は、ホームレス総合相談ネットワークに寄せられた相談件数は千三百四十三件に達し、「七割は破産や多重債務」だと報告。食べ物のない状態で生活保護を申請しても決定まで三カ月も要した例をあげ、路上生活者が生活保護を受けられない実態を語りました。
岡部卓首都大学東京教授は、国庫負担率が減らされた一九八六年に保護率が極端に下がったと指摘し、生活保護行政を「利用者サイドにたつものにすることが必要だ」と述べました。
笹沼弘志静岡大学教授は、生活権を保障するうえで福祉事務所が持つ役割の重要性をのべ、最低生活ができるようにケースワーカーはさまざまな対策をとる権利を持っていると強調しました。
池田幹雄東京都福祉保健局生活福祉部計画課自立支援係長は、生活保護制度が路上生活者にたいして機能しきれていないと話しました。
シンポジウムは、今年十月に日本弁護士連合会が開く人権擁護大会にむけた企画の一つです。
東京弁護士会の吉岡桂輔会長があいさつ。小久保哲郎弁護士が基調報告。日弁連によるドイツの生活保護について調査結果を報告しました。