2006年9月1日(金)「しんぶん赤旗」

米が未臨界核実験


 【ワシントン=山崎伸治】米エネルギー省は三十日午前十一時(米太平洋時間、日本時間三十一日午前三時)、ネバダ実験場で未臨界核実験「ユニコーン」を実施しました。一九九七年七月の最初の未臨界核実験以来、今回が二十三回目。ブッシュ政権下では十回目で、今年二月に続くものです。

 実験はニューメキシコ州のロスアラモス国立研究所によって行われました。エネルギー省核安全保障局ネバダ現地事務所は、「核兵器の信頼性を維持するのに不可欠な情報を得るため」と説明しています。

 米ホワイトハウス前で核兵器廃絶を求めて二十四時間の監視行動を続けている「プロポジション・ワン」のエレン・トーマスさんは、「米国は世界で最大の偽善者だ。他国には戦争で脅してまで核兵器を保有させない一方、自国は核兵器を保有するだけでなく、開発を続けている。イランや北朝鮮の核開発をめぐって不安定な国際情勢の下での実験に懸念を覚える。米国内でも声を上げることが必要だ」と語りました。

 今回の未臨界核実験は当初二〇〇四年に計画されていたもの。従来の実験では地下の横坑が使われていましたが、今回初めて、立て坑を使用。実験施設は新たに建設されました。ネバダ現地事務所が発行するニューズレター「サイトラインズ」によると、〇七年にも実験が予定されています。


被爆者ら抗議

 三十一日未明のアメリカの未臨界核実験強行に対して各界から「被爆者はじめ核兵器廃絶を願う人々の思いを踏みにじるもの」と抗議の声があがっています。

 被爆地の広島市の秋葉忠利市長、長崎市の伊藤一長市長は、「激しい怒りをおぼえる」とそれぞれブッシュ米大統領と駐日米国大使に抗議文を送りました。

 広島市中区の原爆資料館下で「核実験に抗議する座り込み行動実行委員会」は抗議の座りこみをしました。非核の政府を求める長崎県民の会はアメリカ大統領あての抗議文を送りました。

 日本原水爆被害者団体協議会は東京のアメリカ大使館前で抗議行動を繰り広げ、抗議文を同大使館に手渡しました。各団体がいっせいに抗議声明を出しました。


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