2006年9月1日(金)「しんぶん赤旗」

米軍再編費を初計上

防衛庁が予算要求

「ミサイル防衛」1.6倍


 防衛庁は三十一日、二〇〇七年度軍事費(防衛関係費)の概算要求を決定しました。総額は、約四兆八千八百六十九億円(〇六年度予算比で七百三十億円、1・5%増)。関係自治体・住民が強く反対している在日米軍再編計画を「的確かつ迅速に実施するため」として、関連経費を初めて本格計上し、推し進める姿勢を示しています。

 同経費では、米軍キャンプ・シュワブ沿岸部(沖縄県)への新基地建設や、米軍岩国基地(山口県)への米空母艦載機部隊移転などで「調査費等」を盛り込みました。米軍嘉手納基地(沖縄県)の戦闘機部隊訓練の本土移転では「訓練移転費」を計上。しかし、防衛庁は「現時点において計上すべき予算をあらかじめ確定するのは困難」とし、各経費の金額を明らかにせず、「今後、予算編成過程において検討し、必要な措置を講ずる」としています。

 また、▽米軍キャンプ座間(神奈川県)への陸上自衛隊中央即応集団司令部の移設▽米軍横田基地(東京都)への航空自衛隊航空総隊司令部の移設▽空自車力基地(青森県)への「ミサイル防衛」用の米軍Xバンド・レーダー設置―の経費として、百五十九億円を盛り込んでいます。

 米国の先制攻撃戦略を支える「ミサイル防衛」関連経費は、〇六年度予算(千三百九十九億円)の一・六倍(七百九十一億円増)に膨れ上がり、二千百九十億円です。

 このなかには、二〇〇四年度から調達を始めた、地上発射型の迎撃ミサイルPAC3について、一部前倒し導入経費も計上しています。

 概算要求の総額は、沖縄の米軍基地を県内でたらい回しするためのSACO(日米特別行動委員会)関連経費二百三十三億円を含めたものです。内閣官房予算に含まれ、第二の軍事費といわれる情報収集衛星(軍事偵察衛星)関連経費六百五十五億円(四十四億円増)を加えると、四兆九千五百二十四億円(七百七十四億円、1・5%増)に達します。

■概算要求に盛り込まれた
在日米軍再編関連措置

(1)普天間基地に代わるキャンプ・シュワブ沿岸部への新基地建設(調査費など)
(2)沖縄本島の嘉手納基地以南にある米軍基地の返還(調査費など)
(3)厚木基地から岩国基地への空母艦載機部隊の移駐など(調査費など)
(4)相模総合補給廠(しょう)の一部返還(調査費など)
(5)嘉手納基地に所属する米空軍機の本土への訓練移転(訓練移転費)
(6)地域振興策(新たな交付金制度など)
(7)キャンプ座間への陸上自衛隊中央即応集団司令部の移設(調査費)
(8)横田基地への航空自衛隊航空総隊司令部などの移設(施設整備費)
(9)車力基地への「ミサイル防衛」用米軍新型レーダー(Xバンド・レーダー)の配備(施設整備費)
(注)(1)〜(6)は予算額を明らかにせず。(7)〜(9)は計159億円。


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