2006年8月30日(水)「しんぶん赤旗」
庶民大増税 なぜなぜ問答
消費税編 13
Q 「売り上げ」に上乗せできないときは?
すでに述べたように、消費税は、業者が「売り上げ」にかかる消費税から「仕入れ」にかかる消費税を差し引いて、税務署に納めます。
保障なし
「売り上げ」に消費税を上乗せできないときはどうなるでしょうか。大企業の場合ならこんなことはありませんが、価格競争力の弱い中小企業の場合は、往々にしてあることです。
しかしこれは、法律違反でも何でもありません。逆にいえば「消費税法」は、「売り上げ」に消費税を上乗せすることを保障していないのです。
「消費税法」は、「国内において事業者が行った資産の譲渡等には、この法律により消費税を課する」と書いてあるだけです。要するに、業者が消費税を上乗せできようが、できまいが、「資産の譲渡等」を行ったら、そこには「百五分の五」の消費税が含まれているとみなすわけです。
消費税を上乗せできないのに、架空の「売り上げにかかる消費税」から「仕入れにかかる消費税」を差し引いて、税務署に納めなければなりません。これは、過酷な負担になります。
消費者も
この問題を消費者の立場からみると、どうなるでしょうか。「消費税法」という法律の上では、消費者も消費税を払うことを義務付けられているわけではありません。
通常、消費税を払っているのは、それを払わなければ業者が損をするので、業者は売ってくれない、だから払わざるをえないわけです。ところが業者の側の力が弱くて、損を覚悟で売らざるをえない場合もあり、この場合、消費者は消費税を払っているとはいえないのです。
消費者が、業者を通じて消費税を払うのか、それとも払わないのか、ということは、税金という公法上の問題ではなく、民事上の交渉に属する問題です。
同じことは、中小企業と大企業との取引の場合にも起こります。相手が大企業だと、中小企業はなかなか転嫁できません。往々にして“消費税分くらい自分で何とかしろ”となります。
このように消費税という税金は、価格に転嫁できる大企業にはどうということはありませんが、中小業者の場合、転嫁できるか、転嫁できないかで、経営が大きく左右される、たいへんな税金なのです。(つづく)