2006年8月29日(火)「しんぶん赤旗」
清掃労働者にも最賃制
85万人適用 労組の運動実る
ドイツ
ドイツ建設・農業・環境産業労組(IGBAU)が要求していたビルやホテルなどの清掃関連労働者の最低賃金が確立することになり、現場では「これで職が守れる」と喜ばれています。建設労働者などの最低賃金を定める労働者派遣法の適用が拡大し、ドイツで八十五万人を数えるビルやホテル、病院などの清掃労働者にも適用されることになったものです。(片岡正明)
ベルリンからの報道によると、適用拡大は二十三日の閣議で決定しました。同法は、賃金水準の違う東欧労働者が流れ込み深刻な問題となったため、一九九六年三月に建設労働者の最低賃金を定める法律として発効しました。
労働者派遣法は、これまで建設業のほか、建物解体業、塗装業、屋根ふき業、海運業に適用されてきました。外国人労働者にも適用され、外国企業がドイツ内で自国労働者を雇う場合にも、賃金ダンピングの歯止めとなってきました。
この法律によって建設労働者の最低賃金(時給)は旧西独地域十二・四七ユーロ(一ユーロ=約百五十円)、旧東独地域十・〇一ユーロと定められています。今回の適用拡大で、清掃労働者は旧西独地域で七・八七ユーロ、旧東独地域で六・三六ユーロとなりました。
IGBAUのウィーゼヒューゲル委員長は「ビルやホテルの清掃労働者を守るための重要な一歩だ。協定賃金ではなく、時給四、五ユーロしか払わない悪徳業者がいるこの産業で、これからは最低賃金に違反した企業は二万五千ユーロ以上の罰金を支払わなければならなくなった」と語りました。
ミュンテフェリング労働社会相(社会民主党)はインタビューで、多くの部門に低賃金の外国人労働者が流入しているとして、すべての産業分野で最低賃金制度を確立したいと語りました。
IGBAUはドイツ国内での移民労働者を支援する欧州移民労組の組織も支援。外国人労働者がドイツの最低賃金で働けるよう、またドイツの労働者が賃金ダンピングに巻き込まれないように共同しています。