2006年8月27日(日)「しんぶん赤旗」
イスラエル クラスター爆弾使用
民間標的は協定違反
批判緩和意図か 輸出の米が調査
レバノン攻撃
【ワシントン=鎌塚由美】米紙ニューヨーク・タイムズ(二十五日付)によると、米国務省は、イスラエルがレバノン攻撃で米国製のクラスター爆弾を使用したことについて調査に乗り出しました。
クラスター爆弾は親爆弾のなかに数百個の子爆弾が収納され、空中で親爆弾が爆破し、子爆弾を広範囲に散布、殺傷・破壊力を広げる非人道兵器です。
同紙によると、米国からイスラエルへのクラスター爆弾の輸出に関しては、軍事標的に使用を制限するという「秘密協定」があるといいます。
今回のイスラエルのレバノン攻撃では、民間施設が標的にされ、米国製のクラスター爆弾の使用が確認されています。
一九八二年のイスラエルのレバノン侵攻時には、米議会の調査によって、民間人地域で米国製クラスター爆弾が使用されたことが判明。レーガン政権(当時)は、六年間の禁輸措置をとったといいます。
同紙は、今回の調査は、イスラエルが米国に使用を通知し、軍事標的のみを対象にしていたかどうかを検討するだけだとし、イスラエルに制裁が加えられる可能性は低いとしています。国務省の現職と元の当局者は、「イスラエルの軍事攻撃を支持するブッシュ政権に対する、アラブ諸国やコメンテーターからの批判の緩和を意図したものかもしれない」との見方を示しています。
国務省は、子爆弾をまき散らすM26ロケット砲弾のイスラエルへの輸出を停止したといいます。
国際的な人権NGO(非政府組織)の「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」は、M26ロケット砲弾の違法性を指摘し、米国のイスラエルへの輸出を批判していました。
米CNNは二十五日、レバノン南部には多くのクラスター爆弾が散乱している実態を伝えました。イスラエル軍の投下したクラスター爆弾の子爆弾が不発弾として民間人の自宅や庭先に残されているといいます。
レバノン南部のスールに事務所を構える国連地雷除去センター(UNMAC)のファラン報道官によると、不発のクラスター爆弾はレバノン南部ほぼ全域で発見され、その数は「二百八十五カ所」にのぼるといいます。同氏は、「毎日、新たに三十カ所で発見されている」と述べました。