2006年8月27日(日)「しんぶん赤旗」
生活苦 相談急増
「1週間 水だけ」
党市議の携帯にSOS
大阪・松原
「もしもし○○町の中野ですけど…。一週間、水しか飲んでいません」
先月末、大阪府松原市の日本共産党市議、もりた夏江さんの携帯電話にこんな留守電が入っていました。二年前、父親の介護のことで生活相談に来た女性、中野寛子さん(57)=仮名=でした。もりた市議は留守電をきいてすぐに中野さん宅を訪問。その日に中野さんと市役所に行き、生活保護受給の手続きをしました。二十六日までに、生活保護を受けられるようになりました。
■10円玉4枚
中野さんは、寝たきりの父親が死去した昨年から一人ぐらしです。食堂の調理員をしていました。今年二月にひざ軟骨の炎症で痛みが止まらず立ち仕事ができなくなって失業。収入がなくなり家賃を滞納。五月には電話を止められました。
約半年で体重は八キロ減りました。水だけで一週間を過ごした先月末、残ったのは十円玉が四枚。そのうちの一枚で公衆電話から、もりた市議の携帯にかけました。
中野さんはふりかえります。「自殺も考えました。海に飛び込んだら誰に迷惑をかけることもないし…。ふと、前に生活相談に行ったことのある、もりたさんのことを思い出したんです。おかげで生活保護が受けられるようになり、ほんとうによかった」
もりた市議のもとには、生活保護の相談に来る人が増えています。月一件だった相談が今年に入って月二―三件です。
「病気や失業で生活が成り立たなくなった人が、知り合いを通じて相談に来ます。生活保護を受けることで生活を再建する道があることさえ知らず、苦しんでいる人がたくさんいるはずです」と、もりた市議。
■申請拒否も
松原市では、二〇〇〇年度千百二十六件だった生活保護世帯数が、〇四年度は千五百八十三と四年間で一・四倍に増加しています。
「河南生活と健康を守る会」の木内道雄事務局長はいいます。
「松原市は自営業者や建設労働者が多い町です。そんな人たちが小泉内閣の『構造改革』で困窮しています。最近も、八十五歳の母親をかかえ借金で生活する女性の飲食店主や、仕事がなくなった日雇い労働者らが相談に来ました。生活保護制度を広報で知らせるなど行政の役割が問われています」
小泉内閣は生活保護基準の大幅な切り下げや申請拒否、保護打ち切りを強めています。松原市では、非正規職員が生活保護の窓口に座り、申請そのものを拒否する事態も起きています。
もりた市議は「生活保護の切り捨ては許せません。苦しんでいる人たちと力を合わせ、貧困と格差を広げる政治を止めたい」と語っています。(隅田 哲)