2006年8月25日(金)「しんぶん赤旗」
イラク戦争 米与党内で不協和音
推進議員も一転、批判
“政府は国民欺いた”
【ワシントン=鎌塚由美】イラク戦争の強硬な擁護派として知られる共和党のマケイン上院議員が、ブッシュ政権は国民を欺いたと批判を始めるなど、秋の中間選挙を前に議員たちの間で不協和音が目だってきました。
二十一日のブッシュ大統領の記者会見では、治安回復どころかテロが激化するイラク情勢に関する質問が相次ぎました。ブッシュ大統領は「イラクにとどまり任務をやり遂げなくてはならない。私が大統領である限り撤退しない」と発言。さらに中間選挙を意識して、共和党と民主党の「根本的な違い」は、イラク戦争で「最後までがんばる(ステイ・ザ・コース)」共和党か、「さっさと去る(カット・アンド・ラン)」民主党かの選択だと述べました。
しかし、当の共和党からは、大統領と一線を画する議員が相次いでいます。とくに、イラク戦争推進派のマケイン上院議員が二十二日に述べた「反省の弁」が大きく取り上げられました。
同氏は「(イラク戦争での)最大の間違いの一つは、必要とされる仕事と犠牲の規模を低く見積もっていたことだ」と述べ、大統領がフセイン政権崩壊後に「任務完了」(二〇〇三年五月)を早ばやと唱え、チェイニー副大統領がイラクの武装抵抗を「最後の苦闘だ」(〇五年)などと楽観視してきたことを批判しました。
マケイン氏の発言は、イラク戦争を批判してきた民主党候補と議席を争うオハイオ州の現職上院議員の選挙応援演説で飛び出したものです。
共和党議員のなかには、早期撤退を主張する議員も出てきました。
ワシントン・ポスト紙(十九日付)によると、コネティカット州のクリストファー・シャイス下院議員は十八日、近く米軍撤退の行程表を提案すると表明。同議員は、反戦派の民主党候補と議席を争う予定で、すでに「政治的空中戦が始まっている」(同紙)といいます。
十七日には、ペンシルベニア州のマイケル・フィッツパトリック下院議員が、有権者への書簡で「ブッシュ大統領の『最後までがんばる』戦略」に反対を表明すると宣言しました。「イラク戦争に関しては、ブッシュ大統領は、大胆かつ毅然(きぜん)と対応してきたが、決定的に間違ってきた」と述べました。
かつて、フランスのイラク戦争不支持に怒り、下院議員会館のメニューの呼び名を「フレンチ・フライ」から「フリーダム・フライ」へ変更しろと主張したウォルター・ジョーンズ下院議員(ノースカロライナ州)は、すでに昨年六月からイラク戦争への批判の態度を明確化。〇六年十月から撤退を開始する法案を他の議員と共同提出しています。