2006年8月24日(木)「しんぶん赤旗」
諫早湾干拓の造成地
長崎県が税金53億円投入計画
差し止め求め住民提訴
諫早湾干拓の造成農地(七百ヘクタール)をリース方式にし、一括して買い取るため県民の税金五十三億円を投入しようとしている長崎県を相手に、「諫早干拓への公金支出をやめさせる会」は二十三日、長崎地裁に「公金支出の差し止め」を求める住民訴訟を起こしました。
県内の諸団体の代表ら七十六人が「県の支出は許されない」と訴えていた住民監査請求を県監査委員が却下したため、同請求団全員が原告として提訴したものです。
提訴に先立ち、原告や訴訟支援者ら約九十人が市役所前から県庁までデモ行進。地裁前で決起集会を開きました。
弁護団の馬奈木昭雄団長は「県民生活に必要な予算を削る一方で、ムダな事業に『公共性』の名で違法な税金投入が許されるのかを正面から問おう」と強調しました。
島原市在住の原告・松坂昌應さんは「計画に反し、県が農地を一括買い取るのは事業の矛盾の極み」と怒りをあらわにしました。
日本共産党の田村貴昭衆院比例候補も駆けつけて激励。「住民訴訟に至ったのは当然のこと。全面的に支持し勝利のためともに奮闘する」とあいさつしました。
「諫干農地・税金ムダ遣い裁判」は、県が出資した農業振興公社をトンネルにして県民の税金を不当支出することに県民の怒りが集中したものです。「諫早湾干拓事業は工事完成で終わるわけではなく」(弁護団長)、完成後も「リースに伴う農地管理費」「調整池の浄化費」など、将来にわたって莫大(ばくだい)な公金支出が続くことになります。