2006年8月22日(火)「しんぶん赤旗」
組合員に役立ってこそ
JA農協大会の議案めぐって(上)
財界の農業攻撃に抗し
三年に一回開かれるJA(総合農協)第二十四回全国大会が十一月一日に開かれます。全中(全国農協中央会)はこのほど、「食と農を結ぶ活力あるJAづくり―『農』と『共生』の世紀を実現するために」と題する大会にむけた組織協議案を発表しました。議案の内容を見てみました。
JAグループは、単位JAを基礎組織とし、正組合員五百十一万人、准組合員を含めると九百万人を超える組織です。
単位JAは、一九九〇年前半には約三千ありましたが、八八年の第十八回農協大会決定をもとに進めた広域大合併によって、現在八百四十五になっています。
単位JAの平均組合員数(准組合員を含む)は、九六年の三千九百人から一万人を超えるまでになっています。
農民の共同組織
JA農協は、農民の協同組合として農産物の生産と流通、農家と地域住民の生活の安定に重要な役割を果たしています。
しかし近年、農業生産の縮小や地域経済の落ち込み、組合員の高齢化や農業へのかかわりの弱まりなど、農協をめぐる情勢は大きく変わっています。小泉改革がおしすすめた効率一辺倒の政策、経済運営のゆがみが顕在化し、貧富の格差、地域の格差も深刻になっています。農業・農協事業への影響もきわめて深刻です。
それだけにいま、「農業者の協同組織の発展を促進し」「農業生産力の増進を図る」(農協法第一条)という農協の役割が重要になっています。
振興策投げ捨て
日本政府は、WTO(世界貿易機関)体制を無条件に受け入れ、自由化を推進し、農業保護・振興策を放棄しようとしています。
先の国会で成立させた品目横断的対策などの「農政改革」は、その中心です。同対策は、個別の価格保障を全廃し、一部の大規模農家や法人のみを施策の対象とするものです。国内農業を縮小させ、農協組合員や地域農業に大きな影響を与えることは必至です。
また、規制改革・民間開放推進会議など、財界と政府が一体となって農協批判を強めています。
その内容は、農協解体につながるものです。財界などは、農協について“組合員を守るために小規模農家を温存している、独禁法適用除外や多様な事業をおこなう総合性が自由競争を阻害している、経済活動の赤字を信用・共済事業の黒字で補てんするのはおかしい”などと主張しています。
農林中金総研リポートは、この主張について「零細兼業農家の存在を全面否定し、……規模拡大至上主義による農業構造改革論を原点にすえ、農協をこの構造改革に反対し、零細兼業農家を温存する組織としてその存在を否定」するものと指摘しています。
組合員・農家への攻撃であるとともに農家を広く組織し、多様に結びついている農協とその事業を解体し、農業と農村をより自由なもうけ追求の場にしようという財界・大企業の思惑があることは明らかです。(つづく)(日本共産党農・漁民局長 有坂哲夫)