2006年8月20日(日)「しんぶん赤旗」
ガス湯沸かし器
事故死172人
調査法人資料で判明
経産省「分析不十分だった」
ガス湯沸かし器の事故による死者が、パロマ工業製品事故の発端となった一九八四年度以降、少なくとも百七十二人にのぼっていることが本紙の調べであきらかになりました。これは、燃焼器具や家電製品などの事故情報を収集し、原因調査をする独立行政法人・製品評価技術基盤機構の「事故情報詳細」などから調べたものです。
84―05年度 本紙調べ
八四年度から〇五年度までに同機構が収集し、調査・分析した事故の各年度別報告書(明細編)を調べた結果、「ガス湯沸かし器」による事故は二百三十六件でした。大半が一酸化炭素(CO)中毒の被害者を伴っており、重軽症者は二百七十六人にのぼっています。そのうち八十八件の事故で百五十九人の死者が記録されています。
事故発生年月日、事故内容などをつきあわせると、この「事故情報詳細」にはパロマ工業製品の一連の事故(パロマ工業が公表している二十八件)のうち、十件(死者八人、重軽症者十三人)が含まれているとみられます。「事故情報詳細」に入っていないパロマ関連事故十八件の死者十三人、重軽症者二十六人を加えると、合計で死者百七十二人、重軽症者三百二人になります。
同機構の「事故情報詳細」では、パロマ工業関連の事故で、安全装置の改造や異状を指摘しているものが四件。ほかに長期間の使用により性能が劣化したと考えられる「製品に起因する事故」として二件あげています。今回、明るみに出て問題になっているパロマの事故原因に関するこれらの指摘は同機構がすべて経済産業省に報告しています。
パロマ工業の事故は、一九九二年に七件続いて起きています。同機構でも同年に起きた事故のうち三件を分析、二件について安全装置の改造を指摘しています。
関係者からは、「同種・類似事故が続発したこの時の対応がどうであったかが、再発防止のための一つのポイントだったのではないか」との声があがっています。
経済産業省製品安全課は、「今回のパロマのケースでいうと、(事故情報の分析が)十分でなかったかもしれない。いろんな製品があり、特定社、特定機種について分析がやられていないのが実情。経済産業省が把握した今回のパロマ関連の事故情報で、同機構にいかなかった分もあった」といいます。同省に集中される事故情報の取り扱いがどうだったのか、国民の命と安全にたいする同省の姿勢が問われる問題です。