2006年8月19日(土)「しんぶん赤旗」
テロ対策で米連邦地裁
令状なし盗聴「違憲」
「明らかに不適切な権限」
【ワシントン=鎌塚由美】米ミシガン州デトロイトの連邦地方裁判所は十七日、国家安全保障局(NSA)が裁判所の令状を得ずに国民に対する盗聴を行っていることは「憲法違反だ」と判断し、直ちに中止を求める判決を出しました。
同裁判は、米市民的自由連合(ACLU)が、ジャーナリスト、学者、法律家らを代表してNSAを相手取り訴えていたもの。米メディアは昨年、ブッシュ大統領が9・11テロ事件後にNSAに令状なしの盗聴を許可していたことを暴露しました。ブッシュ政権は盗聴は、テロとのたたかいにおいて必要だと正当化してきました。
同連邦地裁のテーラー判事は、NSAが令状なしで盗聴することは、憲法に保障された表現の自由とプライバシーの権利を侵害すると指摘。判決文で「権利宣言が列挙する概念を明らかに無視する不適切な権限を大統領に与えることは、憲法の立案者の意図では決してなかった」と述べました。
NSAの盗聴を違憲だとする判決は今回が初めて。ACLUのロメロ事務局長は、「大統領権限の乱用に言及し、権力の行きすぎを抑えて均衡をとる民主主義の制度を再確認した」と判決を歓迎しました。
ホワイトハウスのスノー報道官は同日、同判決には「同意できない」と反論。ゴンザレス司法長官は同日、即日控訴したことを明らかにしました。