2006年8月12日(土)「しんぶん赤旗」
職員の犯罪続く京都市
同和行政ゆがみ 職場規律に乱れ
住民税、国保料など市民への負担増とゴミ袋有料化など市民の怒りをよんでいる京都市で、覚せい剤使用に児童買春、生活保護費の詐取、ATM機破壊などの犯罪容疑で逮捕された京都市職員は、四月から九人にのぼっています。地元の京都新聞が「(職員千人当たりでは大阪や神戸など全国十五の)政令指定都市でも突出している」(七月二十九日付)と報道するほど。日本共産党市議団(山中渡団長、二十人)は、犯罪・不祥事問題の全容解明と根絶に全力をあげています。
桝本(ますもと)頼兼市長が就任した一九九六年から現在まで、市職員の逮捕者は八十九人、うち覚せい剤による逮捕者は二十二人にのぼります(八月十一日現在)。二〇〇一年には、市役所内での覚せい剤売買事件まで発生しました。
こうした犯罪・不祥事続出の背景には、桝本市長自身が「同和行政の柱として行った優先雇用で、甘い採用があった」と認めざるを得ないなど、桝本市長が「解同」(部落解放同盟)を特別扱いし、上司が注意をしても言うことを聞かないなど、規律の乱れにもきぜんとした態度を取れない職場環境を放置してきたことがあります。
桝本市長は、初当選した九六年の市長選挙で、「同和行政の終結」を公約しました。
しかし、党市議団の調査と告発で、市長就任の翌年には、「解同」京都市協に設置された「企画推進委員会」に、市長が市幹部をはじめ五十―百人近くの市職員を参加させ、その会場費まで市が負担していたことも判明しました。市は、同和施策について、この「推進委員会」などですべてお伺いをたててきました。
九七年度からの五年間には、「解同」支部などが「学習事業」と称し、市の補助金で、カラ事業や温泉旅行などを行い、八千万円も不正受給。不正にかかわった「解同」支部長五人も京都市職員で、昨年二月には京都地裁が「学習会とは言えず、違法」と補助金の返還を求めて断罪しています。
二〇〇二年三月の国の同和特別事業廃止後も、市は、同和地区の奨学金の返還を事実上肩代わりする「自立促進援助金」を「社会正義の実現」と強弁し、今後二十三年間に五十億円規模の支出を続けることをやめようとしません。
この問題では、三月の大阪高裁で「何ら審査をせずに援助金の支給を継続している」「内容的にも手続き的にも不適切」と、市長らに賠償を命じる判決が出されています。
共産党 全容解明へ全力
日本共産党京都市議団は、「同和行政」のゆがみの温存を許さず、市議会で六回も「同和行政」終結の決議を上げさせたのをはじめ、同和「優先雇用」や補助金などを廃止させてきました。
七月三十一日に開かれた臨時厚生委員会。他党が過去の職員採用のあり方や職員研修・教育など問題の核心に迫れないなか、党市議は、生活保護費を紛失するなど不適正な事務処理を行っていたケースワーカーに同じ仕事をさせる市の異常な対応をただしました。
九日にはこの問題で「緊急市政報告会」を行い、会場があふれるほどの二百人の市民が参加しました。
北区の主婦(62)は、「市職員の犯罪はあまりにも多い。私らの税金をなんだと思っているのか。不公平なことをやっておいて、市民へは値上げばかりで許せない」と話します。
党市議団は、市民の怒りの声を力に、議会招集権を活用して臨時市議会と調査特別委員会の設置を要求(全会派が合意し臨時議会開催が十日に決まる)するなど、犯罪・不祥事問題の全容解明と根絶に議会内外で奮闘しています。