2006年8月12日(土)「しんぶん赤旗」
庶民大増税 なぜなぜ問答
消費税編1
Q 消費税増税は先送り?
「庶民大増税 なぜなぜ問答」は、今回から「消費税編」です。
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小泉内閣の与党内で消費税増税の「先送り」の議論が盛んです。だからといって、安心するのは早過ぎます。
争点隠し
来年は二つの大きな選挙があります。春のいっせい地方選挙と夏の参院選挙です。
「増税を争点にして、選挙に勝てるかどうか。自信は持てない」(谷垣禎一財務相)。だから、消費税増税の具体化は、参院選が終わった後に「先送り」しようといっているにすぎません。
これは、自民党がよくやる手法です。
一九八六年の衆参同時選挙のさい、当時の中曽根首相は「大型間接税はやらん」「ウソいう顔をしてますか」とウソをいい、選挙が終わるや売上税という名の大型間接税を導入しようとしました。
八七年のいっせい地方選挙で、自民党が大敗北し、売上税の導入を断念せざるを得なくなりました。やはり、選挙で増税勢力にきっぱりと審判を下しておくことが大切です。
シナリオ
政府・与党は、選挙後の消費税増税へ向けたシナリオを描いています。
経済閣僚や自民党幹部の発言を総合すると、参院選が終わった後の二〇〇七年暮れの与党税制調査会で結論を出し、〇八年の通常国会で消費税率引き上げ法案を成立させ、〇九年度までに税率を引き上げる計画です。
〇九年度までに基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げることを改定年金法で国民に約束しています。政府・与党は、無駄遣いを改めることで、その財源を生み出すのではなく、増税で賄う考え。消費税率引き上げは、待ったなしだというわけです。
なぜ3%
谷垣財務相は、二段階で消費税率を引き上げることを主張しています。第一段階の〇九年度までに3%引き上げ8%程度にする、そして第二段階の二〇一〇年代半ばまでに、さらに税率を引き上げて少なくとも10%にするという構想です。
消費税を将来10%以上にすることは、日本経団連や政府税制調査会(首相の諮問機関)も提言しています。
谷垣財務相が第一段階で3%引き上げを主張するのはなぜか。
基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一にするための財源は約二・七兆円です。
定率減税の縮小・廃止や年金課税増税も、その財源づくりが口実にされました。しかし、実際に回されたのは四千億円にすぎません。こんどは、消費税を増税する口実に利用しようというのです。
消費税は1%引き上げると、二・五―二・六兆円の税収増になります。
基礎年金の国庫負担増の財源だけなら、消費税を3%も引き上げる理由になりません。
「米軍再編の費用をどうするのかとか、少子化対策とか。そうすると、3%ぐらいの話かな」(谷垣財務相)。三兆円ともいわれている米軍再編の日本側負担の財源までも消費税の増税で生みだそうとしているのです。(つづく)