2006年8月5日(土)「しんぶん赤旗」

原水爆禁止2006年世界大会 国際会議宣言(全文)


 四日、原水爆禁止二〇〇六年世界大会の国際会議で採択された宣言は次の通りです。

 「ヒロシマ・ナガサキをくりかえすな!」――原爆投下から六十年余、この被爆者の声は人々の心を動かし、世界中で反核・平和の行動がくりひろげられてきた。草の根からの運動と世論の力はいくたびも核兵器使用の手をおさえ、さらにいま自治体、諸国政府の努力とあいまって、核兵器廃絶をもとめる大きな流れを創(つく)りだしている。この力をさらに強め、核兵器のない世界を実現しよう。

 いまもなお世界には、二万七千発もの核兵器が蓄積・配備されている。核兵器はどの国が保有するものであれ、人類の生存を脅かす。その廃絶は依然として緊急課題であり、次の世代に安全で平和な世界を受け渡すための前提である。

 世界の軍事費の半分近くを占め、世界中に軍事基地を置き、イラク戦争で先制攻撃政策を実行したアメリカは、「テロや拡散の阻止」を口実に「長期戦争」を戦うことを打ちだした。その重要な柱として、核兵器の使用を公式の方針とし、新たな核兵器の開発や「ミサイル防衛」計画を推進している。昨年のNPT(核不拡散条約)再検討会議や国連サミットでは、核軍縮をとりあげることにさえ反対し、核兵器廃絶を拒否しつづけている。核兵器使用のたくらみをはばみ、核兵器廃絶への確かな道をきりひらくため、逆流を打ち破り、さらに前進しなければならない。

 新たな核保有・拡散は、もちろん認めることはできない。しかし、自らの核保有を正当化し、特定の国々への拡散を容認しながら、武力や核脅迫によって「テロや拡散」に対抗しようとする核兵器国の欺瞞(ぎまん)と危険は明白である。核兵器の廃絶こそが、「核拡散の危険」にたいする根本的な代案である。

 我々は、核兵器全面禁止条約の締結と、そのための交渉のすみやかな開始を強く要求する。核兵器の使用も選択肢にした先制攻撃や、そのための外国軍事基地の再編・強化などを許さず、国連憲章にもとづく平和の秩序を擁護・確立することも急務である。

 我々は、自治体、諸国政府と共同し、核兵器廃絶のために、国際社会とりわけ国連が実効ある一歩を踏み出すことを強くよびかける。

 国連第一号決議は、各国の軍備から核兵器を一掃することを決意した。二〇〇〇年五月、核保有五カ国は、「自国の核兵器の完全廃絶」を明確な約束として受け入れた。「将来の世代を戦争の惨害から救う」ために設立された国連は、これらの決意と合意をただちに実現するために、その任務をはたすべきである。

 我々は、すべての政府に、国連総会での核兵器全面禁止条約締結をもとめる決議の採択をよびかける。また、第四回国連軍縮特別総会の開催や「国連核廃絶の十年」の提唱など核兵器廃絶につながるイニシアチブを歓迎する。

 草の根からの運動と国連をむすぶ「すみやかな核兵器の廃絶のために」署名をはじめ、世界各地で多様な活動をくりひろげよう。各国で、自国政府への働きかけを強めよう。

 強大な軍事力によって世界を支配しようとするやり方は、もはや通用しない。大国の横暴を許さない諸国民の多様な運動が大きく発展している。

 核兵器廃絶の声が、新たな広がりを見せている。イラク占領のゆきづまりのもとで、米国内でも戦争政策への批判が高まっている。深刻さを増す中東・西アジアの状況に、イラク占領の終結、イラン問題の話し合いによる解決、レバノンでの即時停戦など紛争の平和解決をもとめる声が強まっている。「新自由主義」政策の矛盾が深まるなかで、大国の経済的支配に反対する動きも拡大している。

 「核兵器のない平和で公正な世界」は圧倒的多数の人々の共通の願いである。反戦、基地撤去、核実験被害の救済、劣化ウラン兵器の使用禁止、枯れ葉剤など戦争被害の救済、経済的公正、軍事費削減と社会保障の充実、社会的平等、女性の権利、環境保全などをもとめる多様な運動と連帯し、核兵器廃絶をせまる世論と運動を築きあげよう。

 日本の運動は被爆者とともに、核兵器廃絶を国民の声として、ねばり強く行動を組織し、若い世代に継承してきた。そしていま、戦争放棄と戦力不保持をうたった日本国憲法第九条をまもろうとする運動が、日本全国で急速に発展している。九条への国際的な共感も広がっている。我々は、アメリカとともに海外で戦争のできる国にする動きに反対し、「核の傘」からの離脱をめざす日本国民の運動と堅く連帯する。

 被爆者は「自らを救うとともに、私たちの体験をとおして人類の危機を救おうという決意」(日本被団協結成宣言)にたって、核の惨禍の危険を人類に警告するために、その苦痛に満ちた人生を捧(ささ)げてきた。

 この被爆者のねがいと決意を受け継ぐ多くの若者の姿は、明日への希望である。被爆者とともに、そして若い世代とともに、「核兵器のない平和で公正な世界」をめざす世界的な運動をさらに大きく前進させよう。

 ノーモア・ヒロシマ!ノーモア・ナガサキ!ノーモア・ヒバクシャ!

 二〇〇六年八月四日

 原水爆禁止二〇〇六年世界大会国際会議


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp