2006年8月3日(木)「しんぶん赤旗」
イスラエルのレバノン攻撃
擁護の米政権を批判
キッシンジャー 元国務長官
スコウクロフト 元大統領補佐官
アーミテージ 元国務副長官
キッシンジャー元国務長官ら米共和党元政府高官が相次いで、イスラエルのレバノン攻撃を擁護し続けるブッシュ政権の中東政策に対して批判の声を上げ、方針転換を呼びかけています。
フォード、ブッシュ父の両政権で国家安全保障担当大統領補佐官を務めたスコウクロフト氏は、ワシントン・ポスト紙七月三十日付への寄稿で、「弟子」にあたるライス国務長官を批判。
同長官が「単なる停戦ではなく問題の根源に対処する必要がある」と述べているのは正しいが、「問題の源泉」はライス氏が言うようなイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラではなく、一九四八年のイスラエル建国に伴い発生したパレスチナ問題が解決されていないことだと指摘しました。
スコウクロフト氏は、六七年の境界線に基づいたパレスチナ国家の樹立などの「包括的解決」に今こそ着手すべきだとし、そのためにはイスラエル、パレスチナの両当事者だけに任せるのでなく、米国など国際社会が主導的役割を果たすべきだと提言しています。
キッシンジャー氏はワシントン・ポスト三十一日付で、レバノン問題解決のためにも、米政権がイランとの直接交渉に踏み切るべきだと提起しました。
一期目ブッシュ政権で国務副長官を務めたアーミテージ氏は二十七日のNPR放送のインタビューで、「空爆でヒズボラは根絶できない。空爆はヒズボラに力を与えるだけだ」とイスラエルの軍事行動を批判。米国は、ヒズボラに影響力をもつシリアと交渉すべきだと提案しています。
国防次官補を務めていた八三年に在レバノン米国大使館が爆破されたときも、イスラエル側は「レバノンのことはよく分かっているから心配するな」と保証したが、現実はまったく違っていたと述べました。