2006年8月3日(木)「しんぶん赤旗」
自衛隊の無通告ミサイル性能試験
巨大水柱「戦争か」
兵庫 漁船乗組員が証言
防衛庁説明と食い違い
党地区委が独自調査
七月二十五日午後四時ごろ、日本海で操業中の香住漁協(兵庫県香美町)所属の十隻の漁船団が、無警告で行われた自衛隊の「ミサイル性能試験」(防衛庁の説明)に遭遇し、緊急避難するという事件が発生しました。現場で何がおきたのか―香住漁港を訪ねました。(安治川敏明・日本共産党但馬地区委員長、豊岡市議)
日本共産党但馬地区委員会は、二十六日防衛庁に抗議電を打ち、香住漁協に見舞電を送るとともに、独自に事件の真相を調査しています。三十日には、川端政明香美町議とともに、香住漁港岸壁で休漁のため係留中の誠竜丸ほか漁船団を訪問しました。乗組船員は次のように証言しました。
「韓国の漁船が置き去りにした廃棄漁具の捜索回収をしていたので、始終甲板にいた。ものすごいごう音がしてジェット機が超低空で海面すれすれに船の左右を飛び、びっくりした。ジェット機が去った直後、船から見て北方向約一万メートル付近に大きな見事な水柱が何本も上がるのを見た」
黒煙が流れる
「初めに小さな水柱があがり、次に爆発したような状態で大きな水柱があがった。水柱が収まると黒煙が流れるのが見えた。大きな水柱の高さは距離からみて海面から七十メートルから八十メートルはあったのではないか」
「水柱の上がった付近に艦船や航空機は見えなかった。漁船のレーダーにも船の影は映っていない」
「『戦争か』『北朝鮮のミサイルか』と口々に言った。無線で香住漁協に連絡、漁協が海上保安庁に連絡、保安庁が防衛庁に問い合わせて訓練が行われていることがわかった。十隻で船団を組んで互いに数キロ離れていたが、水柱はすべての船から見えたと思う」
「漁船からの連絡で危険だということで十隻が緊急避難することになり、全速力で南下した」
説明あいまい
二十七日には防衛庁の課長が香美町に来て説明にあたりましたが、あいまいな内容だったため、再度説明を求めることになっています。
防衛庁は、“ミサイルは発射していない”“水柱はミサイル熱感知の試験のために発射した熱源(フレア)の煙を誤認したのではないか”といっていますが、現場の目撃証言とは明らかに違います。プロの船員が煙と水柱を誤認するとは考えられません。
「自衛隊のミサイル性能試験とはどういうものだったのか」の全容を明らかにさせる必要があります。防衛庁は、再発防止とともに、緊急避難で漁船団に損害があり恐怖を与えており、謝罪と損害賠償をしなくてはなりません。
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