2006年8月2日(水)「しんぶん赤旗」
鼓動
プロ野球 肖像権裁判
時代の流れに逆行する判決
プロ選手会労組が選手の肖像権が選手側にあることの確認を求めていた裁判で、東京地裁は「統一契約書」を理由に球団側の主張を認める判決を下しました。
50年以上前に作られた同契約書が時代遅れの内容も多いことは、球団側も認める事実です。個人の権利を尊重する法律の流れにも逆行する時代遅れの判決です。
裁判は、日本野球機構が00年4月全球団の選手名を一ゲームメーカーのコナミに独占的使用を認める契約を結んだことに始まります。選手会には何の相談もなく一方的なものでした。
開幕に発売されるはずだった他社の野球ゲームが秋に出るなどそのあおりを受けたのは野球ファンでした。選手会には「コナミの独占を打破してください」という訴えも寄せられていました。
この契約はファンのすそ野を広げる新たなゲームの登場を阻害すると考えた選手会はそれまで話し合いの席で機構側に問題解決を図ろうとしてきました。しかし、答えは「独占契約の弊害はない」の一点張りでした。肖像権の管理をもはや機構側に任せておけないと判断した選手会は同年11月、包括的な使用に限って選手会が肖像権を管理すると同機構に通告しました。
提訴は02年8月ですが、03年には公正取引委員会が、他社のゲーム発売を妨害したとしてコナミに警告し、機構側も注意を受けました。同年に切れた契約は延長されませんでした。どちらの主張に道理があるのかは、裁判の結果が出る前に決着がついたといえます。
裁判で敗れたとはいえ、ファンの声を代弁する選手会の提訴は大きな意味のある行動だったといえます。(青山俊明)