2006年8月1日(火)「しんぶん赤旗」
けいざい?
ワーキングプアって何だ
働けど働けど…
熊 てぇへんだ、てぇへんだ。
ご隠居 どうしたい。
熊 なんとかプアが急増しているそうだ。
ご隠居 ははあ、「ワーキングプア」の話だな。NHKテレビが特集を放送して、話題になっている。
“働く貧困層”
熊 なんでい、そのプアというのは。
ご隠居 プアとは貧しいということ。働いても働いても豊かになれない。まあ、“働く貧困層”とでもいうか。
熊 おいらのことかい。
ご隠居 もっと苦しい。働いているのに、生活保護水準以下の暮らししかできない人たちのことだ。
熊 そんなに増えてるのかい。
ご隠居 生活保護水準以下で暮らす家庭は、日本の全世帯のおよそ十分の一だという。
熊 そういえば、日本の貧困率はアメリカに次いで世界二位になったっていうじゃないか。
ご隠居 そうなんだ。私も驚いたね。OECDといってな、経済協力開発機構という国際機関が加盟国を調べた。そうしたら、日本は全人口の相対的貧困率が五番目だった。これを、生産年齢人口といって十八歳から六十五歳まで、可処分所得に着目してみた。そうしたら、なんと日本の相対的貧困率は二番目だったというわけだ。
熊 働く世代で貧困率が高いってことか。で、その「可処分所得」ってのはなんだ。
ご隠居 所得のうち、税金や社会保障負担などを差し引いた残りの所得のことだ。
熊 ていうことは、税金や社会保障の負担が増えると、「可処分所得」ってぇのが少なくなるってぇことだな。
ご隠居 いいとこに気付いたな。そこに、日本の貧困率が高くなった原因があるってわけだ。
熊 そこってどこだ。
ご隠居 働く世代で給料が減ったうえに、税金や社会保障の負担の重さに苦しんでいる人口が増えているってぇことだ。
熊 なんだ、なんだ、それって、大企業や小泉政治のせいじゃねぇか。
ご隠居 な、そこなんだよ。問題は。大企業は、大もうけを稼ぎ出すため、正社員を減らす、給料は抑える、部品の単価は切り下げる。政府は、これでもかこれでもかと庶民に増税し、福祉を切り捨てる。
アメリカ型に
熊 病気を治すのもカネしだい。なんか、だんだんアメリカ型になってきたな。
ご隠居 経済力が世界で一、二位のアメリカと日本が、貧困率でも一、二位を競いあっているというのは、なんとも皮肉な話だ。
熊 「格差のある社会は活力のある社会」なんて、財界のお偉方がいってたが、とんでもねぇ話だ。おいらたち貧しい者を踏みつけにして、一部の大企業や大金持ちが“わが世の春”を謳歌(おうか)してるだけじゃねぇか。
ご隠居 それが、小泉「改革」が描いてきた弱肉強食の社会ってもんだ。「働けど働けど…」といううたが、前にも増して、これほど身にしみる時代が来るとはな。
熊 「じっと、手をみる」だけじゃ、救われねぇや。政治を変えなくちゃ。おいら、黙っちゃいねぇよ。来年は二つの大きな選挙があるじゃねぇか。
ご隠居 いいこというね。来春のいっせい地方選挙と来夏の参院選で、きっぱり意思表示しようじゃないか。
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