2006年7月30日(日)「しんぶん赤旗」
JR西事故
説明会で遺族反発
「原因分析できてない」
昨年四月の福知山線脱線事故で、JR西日本は二十九日、兵庫県伊丹市内で、再発防止策をまとめた「安全性向上計画」の進展などについて、説明会を非公開で行いました。死亡した高見隆二郎運転士の様子や、幹部の天下り問題にも触れましたが、遺族らの反発は強かったとみられます。
説明会は、午前が遺族、午後は負傷者が対象。午前中は四十八遺族九十五人が参加しました。
同社側は山崎正夫社長のほか、引責辞任後にグループ会社に天下りした事故当時の鉄道本部長らも出席しました。同様に天下りが分かった井手正敬前相談役は出席していません。
同社が昨年設置した事故対策審議室が、高見運転士の入社後の勤務状況や事故当日の様子などについて、調査を実施。結果を説明会で報告しましたが、事故直前の車掌とのやりとりなど原因に直接結び付くことは話せないとしています。
出席した犠牲者の家族からは、怒りの声が相次ぎました。
家族の一人は「JRは安全性向上計画に基づいて進めているというが、事故の何を反省しているのかが分からない。運転手も、おとなしい性格の人だったという。ならば誰でも事故を起こしうるということ。事故の原因を分析できていない」と批判します。
別の家族は「説明はまったく納得できない。天下り人事には、はらわたがにえくりかえる思いだ」と怒りをあらわにしました。