2006年7月25日(火)「しんぶん赤旗」

停戦めざす欧州外交

多彩に行動


 【パリ=浅田信幸】深刻化するレバノン情勢を前に欧州が停戦実現をめざして積極外交を展開しています。二十三日には独仏英の外相らが相次いで中東を訪問。二十六日にはイタリアのイニシアチブで関係国・機関の国際会議がローマで開かれます。危機打開への転機となるかどうか、欧州の外交力が試される機会でもあります。

 シュタインマイヤー独外相はイスラエルのオルメルト首相との会談で、レバノン南部国境線に沿って欧州連合(EU)諸国で構成される国際部隊を展開することに同意するとの発言を同首相から引き出しました。この後、首相と会談したドストブラジ仏外相は「戦闘を止める政治的条件を見いだすことがきわめて重要だ」と停戦に向けた努力の必要性を強調しました。

 欧州にとって中東は地理的にも近く、歴史的にも植民地支配の時代を含めて深い関係があります。米国が「悪の枢軸」と決めつけ外交関係をもたないイランやシリアとも国交があり、話し合うルートが存在しています。

 こうした表立った外交だけでなく、現在の危機打開に向けた情報機関による隠密活動も注目されています。

 仏週刊誌『国際通信』はドイツの情報機関がイスラエルからの公式の要請を受けて、ハマスとヒズボラに拉致されたイスラエル兵を解放させるためにすでに調停活動を開始していることを明らかにしました。

 第二次世界大戦中にナチスがユダヤ人大虐殺を実行したという歴史を背負うドイツは、戦後一貫していっさいのイスラエル批判を控えてきました。

 この点で、イスラエルから見てアラブ寄りのフランス、米国追随のイギリスよりも、同じ欧州連合(EU)の大国であってもドイツは「より好ましい位置」にあるのだといいます。

 各国が独自性も発揮しながら、あらゆるルートを通じて危機打開に総力をあげている様子がうかがえます。


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