2006年7月25日(火)「しんぶん赤旗」
問題山積 地上デジタル化
えっ 5年後の今日から
私のテレビ映らない
「えっ、今のテレビが見られなくなるの。いつ決めたんですか」「高いテレビなんて買えません」。赤旗編集局が東京・新宿アルタ前でおこなった五十人アンケートでの市民の声です。今から五年後の今日、二〇一一年七月二十五日現在放送されているアナログ放送は停止し、地上波はデジタル放送(地デジ)に完全移行します。
数千万台が粗大ごみに
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アナログ放送の停止ということは、現在使用している“古いテレビ”は映らなくなり、粗大ごみになるということです。テレビを見るためには地上デジタル対応の受信機が必要になります。しかし、五十人アンケートで、アナログ停波の時期を知っていたのは二十二人でした。総務省の最新の調査でもアナログ停波を正確に知っていた人は32・1%。まったく知らない人は49・5%もいます。まだ多くの国民が「地デジ問題」を知らないのです。
総務省やD―Pa(地上デジタル放送推進協会)は二十四日、「あと5年カウントダウンセレモニー」を総務省で開きました。竹中平蔵総務相は「五年後、日本は完全デジタル元年を世界で初めて迎える」とあいさつしました。
しかし、問題は山積しています。アナログ停止のためには二つの条件があります。
まずデジタル電波を百パーセント届けることができるかという問題です。〇三年十二月に三大広域圏で始まった地デジ放送は今年中にすべての都道府県の県庁所在地で視聴できるようになります。さらに全国にあまねく電波を届けるためには中継局の建設が必要です。しかし四月に発表された「中継局ロードマップ」では一一年になっても、届かない世帯が2―3%残っています。この地域にどのような方法で電波を届けるか見通しはまだついていません。
次に受信機の普及です。現在日本には四千八百万世帯に一億台以上のテレビがあります。これを地デジ対応テレビに買い替えるかチューナー(同調器)の購入が必要です。五月現在の地デジ受信機の普及は千百十七万台。残された五年で、九千万台もの受信機を普及させることが本当に可能なのか。使えるテレビを膨大なごみにし、視聴者に高額な買い物を強いる現在の計画は矛盾だらけです。
アナログ停波を決めたのは〇一年の電波法改定でしたが、日本共産党以外の政党の賛成で成立しました。