2006年7月24日(月)「しんぶん赤旗」
ASEAN外相会議きょうから
「6カ国協議」の早期再開支持へ
共同声明草案
【ハノイ=鈴木勝比古】東南アジア諸国連合(ASEAN)はクアラルンプールで二十四日から二十八日まで外相会議を開催します。会議では二〇二〇年を期限とするASEAN共同体創設の促進が討議されます。本紙がこのほど入手した共同声明草案は、北朝鮮のミサイル発射に関し、「このミサイル実験はこの地域の平和と安定に否定的な影響を与える」と憂慮を表明し、「朝鮮半島の非核化実現」、六カ国協議早期再開への支持を表明しています。
共同体創設に向け協議
外相会議では、東ティモールのASEANオブザーバー参加やフランスの東南アジア友好協力条約加入を承認し、ミャンマーの人権問題、朝鮮半島情勢などの地域情勢について意見交換します。
ASEANは各国内部にさまざまな紛争を抱えながら東南アジア地域の平和と協力の流れを確立しています。安全保障、経済、社会文化の三つの共同体の創設を掲げ、その共通の規範となるASEAN憲章の作成を準備しています。
昨年末のASEAN首脳会議が設置した賢人グループによる憲章草案の作成がすすんでおり、今回の外相会議を経て、フィリピンのセブ島で十二月に開催されるASEAN首脳会議にはかります。
ASEAN安保共同体創設では、今年五月に初めて開催したASEAN国防相会議の定例化、ASEAN外相・国防相会議創設を検討し、まず実務者レベルの高官会議の開催を決定します。
ASEAN経済共同体創設に向けては、ASEAN各国間の格差解消のため、遅れた経済水準の諸国への援助・協力の具体策を検討します。
ASEAN社会文化共同体に向けて、ASEAN各国の国民間の交流の強化や社会・人権問題への取り組みを強化し、「人権機構」創設を協議します。
ベトナム東南アジア研究所のルオン・トゥイ・ズオン所長は「ASEAN各国間の国民交流、各種の社会問題への取り組み、人権機構の設置などがASEANの新たな重要な課題となっている」と指摘しました。
28日にはARF北朝鮮問題協議
【ハノイ=鈴木勝比古】東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議に続いて二十八日にはクアラルンプールでASEAN地域フォーラム(ARF)が開催されます。
今回のARFには昨年のビエンチャンでのARFを欠席したライス米国務長官が出席。北朝鮮の白南淳外相も出席し、北朝鮮の核問題に関する六カ国協議参加国すべてが顔を合わせることになり、北朝鮮のミサイル発射問題や北朝鮮の六カ国協議復帰の方策をさぐります。
また、東南アジアで多発している鳥インフルエンザ、インドネシアなどでの地震や津波といった自然災害での国際的な協力態勢の強化もARFの重要課題となります。
ASEANは東南アジア友好協力条約や東南アジア非核兵器地帯条約などを締結し、この地域の平和と安定を促す重要な役割を果たしており、ARFでもASEANが平和と安定に中心的な役割を果たすことを確認することになります。
ASEANと日本、中国、韓国によるASEAN+3会議やASEANと各対話国のASEAN+1の会議をこの期間に開催します。ASEAN+3は東アジア共同体創設の実質的な推進力の役割を担っていますが、小泉首相の靖国神社参拝問題による日中間の対立が影を落としています。
ASEAN・中国会議は南シナ海の諸島の領有権問題をめぐる紛争に関する当事国間の行動に関する宣言の具体的実施を協議します。
また、ARFでは緊迫する中東情勢も協議されます。今回からバングラデシュが参加します。