2006年7月24日(月)「しんぶん赤旗」
「敵基地攻撃」に強い警戒
東南アジアの各紙が表明
北朝鮮のミサイル発射問題で日本政府の重要閣僚から、「先制攻撃」論や「敵基地攻撃」能力の保有という露骨な軍事的対応発言が出たことにたいし、東南アジアの新聞からは、強い警戒心が表明されています。
マレーシアの中国語紙、南洋商報は二十一日、「日本は、北朝鮮のミサイル発射を誇張し、日米軍事協力の強化と新たな軍事力増強の口実にしている」と報じました。
同じくマレーシア紙星州日報は十二日、「日本は『平和憲法』で武力の使用や戦争を仕掛けるのを禁じられているのに、北朝鮮のミサイル発射を利用して『平和憲法』に挑戦している。麻生外相は、日本には先制攻撃の権利があるとのべ、額賀防衛庁長官は、日本が限定的な攻撃能力を持てるとのべた」と指摘。日本の軍事的役割拡大は、「かつて日本のアジア侵略の被害を受けた国にとっては脅威であり、危機と感じられる」とのべています。
シンガポール紙聨合早報は十七日、「日本で『先んずれば人を制す』という奇襲理論が再現した」と題する同紙元論説委員、黄彬華氏の論評記事を掲載し、こうのべています。
「日本には歴史上、パールハーバー奇襲という記録がある。戦後は、自衛隊増強に道を開くために、『先制攻撃』の主張が断続的に出されてきた。北朝鮮がテポドン・ミサイルをもてあそぶ策略を繰り返し、日本がそれを軍拡の絶好の口実にしている。これは、東北アジアの安定を破壊し、恐ろしい結果をもたらす」
黄氏の記事は、日本でのこうした動きが韓国の政府やメディアから厳しい批判を引き起こしていることにふれ、「日本はミサイル危機での主導権を高めようと目いっぱい利用したが、むしろ逆に日韓両国間の溝は拡大した。これは、日本のアジア外交の徹底的な失敗のもう一つの証拠である」と結んでいます。
(宮崎清明)