2006年7月24日(月)「しんぶん赤旗」

主張

概算要求基準

“兵糧攻め”に国民的反撃を


 来年度予算の概算要求基準は、社会保障の予算を二千二百億円も圧縮するなど、くらしのいっそうの切り捨てを掲げています。

 小泉「構造改革」の「基本方針」(骨太方針)に盛り込んだ「歳出改革」の具体化です。小泉首相は「財政健全化の成果を示す初年度となる重要な予算だ」とのべています。

 来年度予算を、将来にわたって庶民にますます痛みを強いる入り口にしようということです。

小泉財政の矛盾噴出

 小泉内閣の五年間で、庶民のくらしは劇的に悪化しました。

 生活保護の受給世帯は小泉内閣発足前の七十五万から百万世帯に、三割以上も増えました。貧困と格差は確実に広がっています。その裏面で生活保護の冷酷な抑制が推進され、餓死者まで出しています。

 医療では国民健康保険料を払えずに保険証を取り上げられ、実質的に医療を受けられなくなった人が急増しています。保険証の代わりに「資格証明書」を発行された人が、昨年は三十二万人に上りました。政権発足前の三倍以上に膨れています。

 通常国会で自民・公明が強行した医療改悪は、これまで対象外だった七十五歳以上の高齢者も保険証取り上げの対象に加えました。

 年金では、高い年金保険料を払えずに制度から除外されつつある人が一千万人に上ります。障害者福祉でも介護保険でも施設からの追い出しが進められています。

 これに加えて、「庶民に大増税、大企業に減税」という逆立ち税制がくらしに襲い掛かっています。

 とりわけ高齢者を狙い撃ちにした増税と、それに連動した介護・年金保険料の増大という「雪だるま」式の負担増は、高齢者の生きる権利そのものを脅かしています。

 くらしの実態の深刻さは、庶民にこれ以上の負担増を迫る経済的根拠がまったくないこと、道義的に決して許されないことを示しています。

 財政破たんの原因は、一九九〇年代に大型公共事業と軍事費を異常に膨張させ、大企業・大資産家への行き過ぎた減税で税制を空洞化させてしまった自民党の失政にあります。そこにメスを入れてこそ、財政問題の解決にも道が開けます。

 ところが、小泉内閣は財界の戦略に従って赤字の元凶を温存し、聖域にする一方、福祉削減や庶民増税で国民に負担を押し付けてきました。その大きな矛盾が、赤字の増大とともに、はっきりと目に見える形で噴出しています。

 小泉財政が明確に行き詰まっているにもかかわらず、今年の「骨太方針」は、その路線を先々まで継続する方針を盛り込みました。

 あとは野となれ山となれ、という破滅的なやり方です。「骨太方針」も、そこから機械的に割り出した概算要求基準も、あまりに無謀です。

 何より、米国領土のグアム基地強化を含む「米軍再編」に三兆円ものお金を献上するような政権には、財政再建を語る資格はありません。

悲鳴待望のたくらみ

 小泉首相は次のようにのべています。「歳出をどんどん切り詰めていけば、『やめてほしい』という声が出てくる。増税してもいいから必要な施策をやってくれ、という状況になるまで、歳出を徹底的にカットしなければならない」。庶民が悲鳴を上げれば、消費税増税の好機到来だという血も涙もない暴言です。

 飢餓さえ起こしている庶民のくらしを、さらに“兵糧攻め”にする道理のかけらもないたくらみに国民的反撃で応えようではありませんか。


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