2006年7月21日(金)「しんぶん赤旗」
高速道中止勧告を世界遺産委に要請
奈良 平城京守る会が会見
リトアニアのビリニュスで開かれていた第三十回世界遺産委員会に参加した「高速道路から世界遺産・平城京を守る会」(小井修一事務局長)の要請団が二十日、奈良県庁で会見を行いました。
同委員会は七月八日から同十六日まで開かれ、守る会の要請団二十三人が渡航。うち三人が委員会にオブザーバーとして参加しました。
要請団は世界遺産センター長に、平城遷都千三百年事業で世界遺産・平城宮跡をメーン会場に使用する計画と、平城京跡を縦断する高速道路建設への中止勧告と現地調査を求める要請書を提出しました。
対応した同センターアジア・太平洋部長のボカルディ氏は、世界遺産ゾーンでイベントを行なうときは世界遺産委員会へ申請が必要であり、まだ手続きはされていないとしたうえで、十一月に同委員会センター長が奈良を訪問する予定なので、守る会と話し合う機会を持ちたいとこたえました。
委員会では前回に続いて、平城宮跡を含む「古都奈良の文化財」について(1)環境アセスを政府から独立したコンサルタントに委ねること(2)環境影響評価において高速道路の代替案の検討とコスト分析を行う(3)環境影響評価の結果と作業プロセスについて二〇〇七年二月一日までに報告する―の三点を日本政府に求めた決議が採択されました。
会見で小井氏は「本来の手続きを無視して遷都事業を進めている奈良県のやり方にセンター側の厳しい姿勢を感じた。決議で高速道路の代替案に言及していることは高く評価できる」と語りました。