2006年7月21日(金)「しんぶん赤旗」

主張

豪雨災害

救援に全力 命守る対策を


 記録的な大雨が、北陸・信越、近畿、中国、九州地方を襲い、深刻な被害が生まれています。死者・行方不明者は二十人(消防庁二十日午前八時現在)にのぼっています。

 被災地では、懸命の救援・復旧作業が進められています。これまでの雨で地盤が緩んでおり、引き続き、警戒が必要です。

 日本共産党の党機関、議員、党員は、各地で被災者を見舞い、要望を聞き、救援活動を行い、生活と住宅、営業の再建に向けて全力をあげています。

百年で一・五倍に

 「何十年も住んでいるが、こんな大水は初めて」。被災地の住民が語るように、長野県の多いところでは、降り始め(十五日)からの雨量が六〇〇ミリを超えました。予想をこえた大雨に、今後とも注意を払う必要があります。災害弱者といわれる高齢者や子どもの安全には特に注意を払いたいものです。

 限られた地域にたいし、短時間に多量に雨が降る「集中豪雨」は、毎年各地で発生しています。

 「集中豪雨」に明確な定義があるわけではありませんが、たとえば、一時間八〇ミリ以上の大雨は、一九七六年以降、四十一都道府県で発生しています。一日二〇〇ミリ以上の大雨は同じくすべての都道府県で体験しています。

 集中豪雨は、それぞれの地域では「記録的」であっても、国全体としては、経験があるのです。たくさんの犠牲が出ていることに胸が痛みます。今度こそ、国としての対策を強化して、命を守る体制をつくりあげてほしいと思います。

 注目されるのは、集中豪雨の発生回数が、百年単位でみても、ここ三十年単位でみても、増えていることです。

 一日の降水量が、二〇〇ミリ以上の日数は、二十世紀初頭(一九〇一―一九三〇年)と最近三十年間(一九七五―二〇〇四年)を比べると約一・五倍の増加です。

 増加は一様ではなく、増減を繰り返していますが、ここ三十年を十年ごとにみると、一九七六―八五年と比べ、一九九六―二〇〇五年は約一・四倍です。一時間八〇ミリ以上の大雨も、同じく、一・六三倍になっています。

 気象庁の「異常気象レポート2005」(昨年十月)は、「『日本における大雨の出現数の長期的な増加傾向』には、地球温暖化の影響があらわれている可能性がある」とのべています。

 政府が、豪雨対策を検討するにあたって、こうした見方にたって、これまでの対策を抜本的に強化する必要があります。

 「異常気象レポート2005」は、「特に本土への台風の接近数の多い八―九月の二カ月でみると、最近約二十年間の大雨の出現数は、過去約百年でもっとも多くなっている」とのべています。

台風の接近に注意を

 この七月初旬から中旬の異常豪雨は、台風4号と梅雨前線の影響といわれています。台風の接近が増える今後にむけて、引き続き、豪雨対策を強めていくことが求められています。

 被災地の暮らしと住まいの再建はこれからです。「再建の意欲につながる支援をしてほしい」と被災者は訴えています。

 豪雨災害の救済が、抜本的に強化されなければなりません。新たな災害の発生に備えるとともに、政府は、被害の実態に即した支援を強化すべきです。


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