2006年7月21日(金)「しんぶん赤旗」

日本、「貧困率」2位

OECD報告書 非正規労働増が影響


 経済協力開発機構(OECD)は二十日、日本経済を分析した対日経済審査報告書を公表しました。報告書は、日本の所得格差が拡大し、二〇〇〇年にはOECD加盟国の中で相対的貧困率がアメリカに次いで二番目に高くなったことを明らかにしています。

 これは、生産年齢人口(十八歳から六十五歳以下)を対象に、税金や社会保障の負担などを引いた後の自由に使える所得である「可処分所得」について分析したもの。同所得分布の中央値の半分以下の所得しかない人口の割合(相対的貧困率)を算出しました。

 日本は一位のアメリカの貧困率13・7%に迫る13・5%で、三位のアイルランド11・9%よりも際立って高い数値となっています。

 日本の一九九〇年代半ばの数値は11・9%で、「構造改革」路線のもとで、所得格差が増大してきたことを示しています。

 また、生活必需品のコストを基に算出した「絶対的貧困」の率(%)が日本で八〇年代半ばから二〇〇〇年に5ポイント増加したと指摘し、OECD加盟国の中で唯一の国だと述べています。

 報告は、格差拡大の原因に、非正規労働の拡大による労働市場の二極化があると分析。日本に対する勧告として、正規と非正規の労働市場の二極化を是正することが重要な鍵だと指摘、正規雇用増加への「包括的な取り組み」を求めました。

グラフ

解説

「構造改革」の転換こそ急務

 OECDの報告は、日本の格差拡大の原因が、非正規雇用の拡大による労働市場の二極化にあることを指摘し、その是正を求めています。

 また、雇用水準に比べ相対的貧困率の高さは驚くべきことだと指摘し、「税制改革」については、所得分配への影響を考慮すべきだと勧告しています。

 日本政府も、〇六年度版の「経済財政白書」で、経済格差が拡大していることを認め、その要因として「リストラ」と非正規雇用の拡大など「雇用の多様化」があるとしています。しかし、格差拡大の最大の原因である雇用破壊をすすめた「構造改革」路線についての根本的な反省はありません。

 それどころか、小泉内閣は労働法制の規制緩和をさらにすすめ、庶民大増税で格差を固定・拡大させようとしています。こうした小泉流「構造改革」の転換こそが急務です。(吉川方人)


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