2006年7月20日(木)「しんぶん赤旗」

療養病床削減に年400億円

公費投入で患者追い出し


 医療改悪法に盛り込まれた療養病床の大幅削減を実行するために、〇八年度から毎年最大四百億円規模の助成金が、公費(医療保険財政)から支出されることが、厚生労働省の資料でわかりました。当面は〇八年度―一二年度の予定で総額二千億円程度になる可能性があります。五年間の「医療費適正化計画期間」の終了ごとに、継続も含めた内容の見直しを行うとしており、金額はいっそう膨らむおそれもあります。

改悪法の柱

 慢性的な病気などで長期治療を必要とする患者を受け入れている療養病床の大削減は、医療改悪法の柱の一つです。現在全国で三十八万床ある療養病床の約六割を二〇一二年三月末までに十五万床に削減します。具体的には、医療保険が適用される二十五万床を十五万床に削減。介護保険が適用される十三万床を全廃する計画です。

 厚労省が、療養病床削減の「受け皿」としているのが、介護老人保健施設やケアハウスなど。療養病床からこれらの施設への“円滑な転換”を促進するため、都道府県が実施主体となって行う「病床転換助成事業」に年間最大で四百億円を使います。その財源は、医療保険財政からまかないます。

低水準配置

 〇七年度から毎年度、各都道府県が、医療型療養病床をもつ医療機関から意向を聴取したうえ、厚労相と協議して、具体的な金額を決める仕組みです。

 老人保健施設は、療養病床に比べて、医師、看護師の配置基準が低く、十分な医療の提供は保障されていません。療養病床からの「転換」が可能な老人保健施設として、医師、栄養士、理学療法士などの配置や、調理室、洗濯室などの設置を義務づけていない「サテライト型小規模」の施設までも認められています。

 医療改悪法成立を受け、療養病床を削減、閉鎖したり、病院経営そのものをやめるところも出ています。また、一日からの診療報酬改定で、厚労省の基準で“医療の必要性が低い”とされる「医療区分1」の患者の点数が大きく下げられました。病院は「医療区分1」の人を入院させると採算がとれないため、患者の「追い出し」が始まっています。

 “医療費のムダが多い”として、国民、患者には負担増を押しつけながら、療養病床つぶし、患者追い出しのために、国民から集めた税金、保険料を使う――小泉流医療「改革」の「逆立ちぶり」を示すものです。


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